『インフルエンザは予防が大切』

先月(9月)、私の住む近隣の小学校でインフルエンザの発症が報告されました。これから冬に向かい、感染の拡大が予想されるインフルエンザ。シニア層では特に気を付けたい病気の一つですよね。

なぜシニア層では特にインフエンザに注意が必要かというと、症状が重篤化しやすい事と、合併症を引き起こす可能性が考えられるからです。

シニアがインフルエンザに感染した場合、最も気を付けなければならない合併症が「肺炎」です。インフルエンザのウイルス自体が肺炎を起こす事はほとんどありませんが、インフルエンザに感染したことによって他の細菌や常在菌によって肺炎を起こしやすくなります。

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Photo by a4gpa

■インフルエンザは予防が大切

インフルエンザは、とにかく罹らないように予防することが一番です。厚生労働省が発表している、インフルエンザ予防に有効的な方法は以下の通りです。

  1. ワクチンの予防接種
  2. マスクの着用(咳エチケット)
  3. 外出後の手洗い
  4. 適度な湿度の保持
  5. 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
  6. 人混みや繁華街への外出を控える

■インフルエンザに罹ってしまったら?

予防をしっかりしていても、絶対にインフルエンザに罹らないという保証はありません。もし罹ってしまったらどんな事に注意したら良いでしょうか。

●早めの受診が大切
インフルエンザは発症してから48時間以内に、医師から処方される抗ウイルス薬を服用することで、ウイルスの増殖を抑えることができます。自己判断で、市販の総合感冒薬や解熱剤などを服用した場合、インフルエンザ脳炎やライ症候群を併発する恐れもあります。インフルエンザの可能性がある場合には早めに受診するようにしましょう。

●とにかく休養
高熱をともなうインフルエンザは体力が奪われますので、とにかく安静第一で休養をとりましょう。汗をかいたら着替えをし、水分補給を十分にします。また、食事は食欲があるようなら、お粥や茶わん蒸しのような水分が多く消化の良いものを食べましょう。

●部屋の湿度を保つ
ウイルスは乾燥した環境で増殖やすくなります。
また、特にシニア層では喉から肺へ続く気道の湿度が低下すると、気道粘膜が傷つきやすく肺炎菌などの常在菌が付着しやすく、肺炎を発症しやすくなります。室内の湿度は50~60%に保つようにし、換気も忘れずに行いましょう。

インフルエンザは、インフルエンザそのものよりも、肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こしやすく非常に危険です。「予防にまさる治療なし」という言葉通り、まずはしっかりと予防に努め、罹ってしまった場合には正しい対処を心がけるようにしたいものですね。

『様々な高齢者見守り活動』

近年、ひとり暮らしの高齢者の増加にともない、孤独死が社会問題ともなっています。かつてのような「向こう三軒両隣」といった濃密な近隣関係は希薄になり、地域の支え合い機能は低下しつつあります。

こうした現状を改善するために、各自治体などで行われているのが「見守り」活動です。地域において見守りが必要だと感じられる方の自宅に、定期的に訪問をしたり、茶話会やイベントを開催し、参加してもらうことで安否確認に繋げたり、そのやり方は様々です。

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photo by Luis Hernandez-D2k6.es

 

■日常生活の行動を利用した見守りシステム

佐賀県伊万里市、長崎県松浦市一帯をサービスエリアとする西海テレビでは、ちょっと変わった「高齢者見守りシステム」を導入しています。そのシステムはテレビのリモコンを使用して、遠く離れた所に住む家族に使用状況をメールで知らせるというもの。

高齢者がリモコンでテレビの操作をすると、「テレビの電源ボタンが押されました」というメールが届くだけでなく、一日の操作履歴も配信されてきます。さらに、このセンサーには温度を感知して、室内が異常高温などになった時や一日の温度記録なども配信されます。

こうしたメールが届くことによって、電源操作が長時間されていない場合には、何かあったのではないかという事にも気づきやすくなるだけでなく、このシステムを切っ掛けに連絡を頻繁に取るようになり、コミュニケーションが深まるなど、利用者の方からは喜ばれているそうです。

実際にこのシステムのお陰で、大事に至らなくて済んだ方の体験談がホームページに記載されていましたのでご紹介します。

今年の7月のことです。独り暮らしをしている実家の父宅に見守りセンサーを設置していますが、その日は朝6時頃のリモコン操作メールがきた後、夕方19時を過ぎても次のメールがきませんでした。気になって実家に連絡すると、受け答えの様子がおかしく、実家へ駆けつけたところ、父がぐったりとして椅子に座っていました。朝から食事もできないくらいに具合が悪く動けずにいたようです。すぐに病院へ連れて行き、結果的に二週間入院することになりました。
翌日はかなり蒸し暑い日だったので、あの時電話をしていなかったら、具合が悪いまま熱中症になって大変なことになっていたかもしれません。今は退院して元気に暮らす父。あの時気になって、電話をする切っ掛けをくれた見守りシステムに感謝しています。

こうした見守りシステムなども、今後の高齢化社会に向けて必要となってくるものの一つなのかもしれませんね。

『昔懐かしい「歌声喫茶」の再来』

夜な夜な皆が生演奏に合わせて歌う昭和の大衆文化「歌声喫茶」が、40年以上の時を経て、再びブームとなりつつあります。

■歌う列車「歌声列車」

とある日曜日の昼、千葉県市原市にある五井駅に停車中の小湊鉄道の先頭に、いつもと違うヘッドマークのついている列車が。ヘッドマークに書かれているのは「歌声列車」の文字。この列車、その名の通り列車に乗りながら歌を楽しむための列車なのです。

2009年から始まり、年に数回走ると言うこの歌声列車、60代以上のシニア層に大変人気の列車で、今年の12月には第48回を数えますが、毎回定員50名の席は予約開始後間もなくして売り切れるほど。

五井駅を出発した列車は、終点の上総中野駅で30分弱の休憩を挟んで、また五井駅へと戻ります。その車中約2時間半、昭和歌謡や童謡などを、アコーディオンの生伴奏に合わせて歌いまくります。小湊鉄道は、列車そのものが昭和の懐かしい雰囲気を演出してくれるので、参加者は皆若かりし頃に、まるでタイムスリップしたかのような気持ちになれます。

五井駅から夷隅郡大多喜町の上総中野駅までの39.1kmを結ぶ古き良き鉄道風景がいきる小湊鉄道の路線。春には桜や菜の花の絨毯を眺めることもでき、旧国鉄時代の懐かしいディーゼル車が今もなお現役で走っていて、18駅あるほとんどの駅は昭和初期の開業時からの木造の駅舎という、懐かしい風情を楽しめる列車です。

場所こそ違いますが、この歌声列車は皆が大声で歌を楽しむ様子が、まさに昭和の大衆文化「歌声喫茶」そのものではないでしょうか。

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Photo by soygcm

 

■歌を歌うことは脳の刺激に

シニアにとって大声で歌を歌うことは、声を出す刺激に加え、音楽の楽しさが脳に刺激を与え活性化します。特に昔懐かしい歌というのは、その歌にまつわる古い記憶や情景、情感などを呼び起こすことに繋がり、より強く脳を刺激してくれます。人間は最近の記憶よりも古い記憶の方が鮮明に覚えているものです。認知症の患者さんでも、歌だけは記憶していることも多いことから、音楽療法を治療の一環として取り入れているところも多いです。

こうした小湊鉄道で行われている「歌声列車」と同じような取組をしている鉄道は、他県にも多くあると聞きます。皆さんの住んでいる地域にも、ひょっとしたら歌を楽しめる企画があるかもしれません。是非見かけた時には一度参加してみてはいかがでしょうか。