『 バトン 』

「誰だって最後はオムツをはくのよ」

奥さんに励まされて子どもの親になる決意をし、子どもが大きくなる頃には自分が子どもになり、そして認知症になる。

M1を見てから久しぶりにそんな映画を観ました。

生物はバトンを渡すように命を繋いでいくわけですが、長い短いはあれどそれは繰り返し繰り返し続いています。

最初に翅(はね)を獲得したとされる昆虫にカゲロウがいます。見た目がトンボみたいなカゲロウは飛ぶのが下手で、フラフラと風に流されているように飛びます。

日光で熱せられているアスファルトの上や,遠くの物がゆれたりゆがんで見えたりすることを陽炎(かげろう)といいますが、そのフラフラと飛ぶ姿が陽炎のように見えたからカゲロウと名付けられたとも言われています。

そしてカゲロウは寿命が短い虫です。「エフェメラセット」というカゲロウは翼のある状態で5時間しか生きられません。使い捨ての切手やハガキなどを「エフェメラ」と呼びますが、「1日」という意味のラテン語に由来しているんだそうです。

思っているより儚く短い人生を「かげろうの命」と言ったりすることもありますが、カゲロウは1日もない短い命のバトンを3億年もつないでいます。

 

そういえば忘年会で「ミュージシャンは早く死にがちだから、推せるうちに推したほうがいいですよ」とある人に言われて、死んじゃったチバユウスケの “世界の終わり” を歌うバンドのチケットを買いました。そういえば。

 

 

『 あと1年 』

元日から能登半島地震が起こり北陸に甚大な被害が出ました、多くの犠牲者の方が出て、当たり前の日常が奪われてしまった方もおられるなか「おめでとう」とは言えない新年が始まりました。

2015年頃からシニア支援のプロジェクトとして始まった、この活動のひとつのテーマが「2025年問題」でした。

2025年には人口の3人に1人が65歳以上になり、75歳以上の後期高齢者が総人口の2割になり、社会保障制度や医療や介護など、さまざまな分野に影響を及ぼすことが懸念されているこの ”2025年問題” に対して、私たちにも何か出来ることがあるのではないかと手探りでスタートしました。

シニアに関わる方々や考えに共感していただいた方々に、それぞれの仕事の合間の時間を使って負担になりすぎないように、気軽に参加してもらえるように、カジュアルでゆるく参加いただけるようなスタンスで、まあまあ休んだりしながらいろいろなことを行ってきました。

ちゃんとちゃんとの学校では、シニアのジリツ、ちゃんとするってどういうことなのか?ということを考えてきました。

またこの活動の大きな目標としては健康寿命をのばすこと、そして長生きの新たな価値をつくっていくことだと思っています。

健康寿命をのばすためには年代に合わせた食生活、栄養を学ぶことが必要です、そしてフレイル予防には正しい運動、歩き方が必要です。歳をとっても1日でも長く働いて社会に貢献することも素晴らしいですが、それだけではなく年齢を重ねること自体にもっと価値があるのではないかと、その価値を表現していくことも必要不可欠だと思っています。

2025年問題をテーマに始めた活動なので、今年は仕事をさぼっても出来ることをやろうと思いますし、まだ何も相談もしていないので勝手に思っていることですが、年末にはまた東京大学でちゃんとちゃんとの学校のイベントができたら素晴らしいなぁとも思っています。

 

”ぽいち” ことサッカー日本代表監督の森保一さんと、明石家さんまさんが対談している動画を観ました。

日本代表が練習するピッチの上に2つだけ椅子を置いて語り合うのですが、内容は意外でした、それは森保監督からさんまさんへのインタビューでした。

その中で印象的な話がありました。

母親に育てられ、社会に出ると実の父親以外にたくさんの父親に出会う、そして生き方を学ぶ、尊敬できる父親もいれば間違った父親にも出会う、でもそれは全てに意味があるんだというような話をさんまさんがしていました。

昔では考えられないくらい強くなったサッカーの日本代表ですが、そこまでにはたくさんの失敗と経験と学びがあったはずです、そしてそれを繋いできたから今があると思うと、無駄な時間など無かったんだと思いますし、続けていくことの重要さを感じます。

ちゃんとちゃんとの学校でも、知らず知らずのうちに何かを受け取っていたり、誰かに渡していたり、無意識にそんなバトンパスを続けてきたんだと思います。

2025年まで1年を切り、この活動もいよいよ大きな節目になります、あっちに行ったりこっちに行ったりカゲロウのようにフラフラしながらも、ゆるくまじめに活動していきたいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です