朝起きて洗った顔を拭いたタオル、寝ぼけながら食べるパンの小麦粉、パンを焼いた安いトースター、カルディで買ったイタリアンローストのコーヒー豆、そのパンをのっけたイケアのプラスチックの皿、、、、そう考えるとパンに塗ろうとしたバター以外は日本でつくっていない。
そしていつもこのコラムを書いているiPhoneもmade in chinaですから、まあ世界は狭くなったということだと思います。
『 自粛と介護 』
ついこの前、大好きなヨシタケシンスケさんの「もしものせかい」を読みました。そして「もしもではないせかい」をいま世界中が経験しています。
連日イヤっちゅうほど聞く新型コロナの影響はとてつもなく、世界中で感染者が増え、ヨーロッパでは毎日多くの犠牲者の方がでています。
日本でも小学校が休みになり、クラスター(感染者集団)やオーバーシュート(爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)なんて言葉が飛び交い、相撲は無観客になり、お笑い芸人はユーチューバーになり、新幹線や飛行機がガラガラという世界に慣れつつあります。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議によると、集団感染が確認された場には、3つの条件が同時に重なるという共通点があると指摘しています。
1.換気の悪い密閉空間であった。
2.多くの人が密集していた。
3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた。
よく取り上げられているこの3つの条件と合わせて、さらに高齢者や持病を持っている方は重症化しやすいようです。
そして感染拡大を抑えるための自粛も、一方で多くの被害を出し始めています。
知り合いの介護現場の人からは「もう大変なんてもんじゃない」と話を聞きました。介護の現場はいつも近距離での濃厚接触が当たり前で、高齢者だけではなく介護従事者にもかなりの感染リスクがつきまとう。
ただだからと言って休むわけにもいかない、介護がないと困る家族や、多くの介護施設は人もお金もギリギリの状態で運営していることを考えると、もう大変なんてもんじゃない状態だと思います。
『 ヤングケアラー 』
ヤングケアラーとは介護する10代のことで、通学や仕事をしながら家族を介護している15~19歳の子どもが、2017年時点で全国に推計3万7100人いるということがことがわかったようです。
毎日新聞が総務省の2017年の就業構造基本調査から独自に分析した結果は、15~19歳の介護者は3万7100人。その約8割(3万700人)が通学しながら介護をしていた。このうち4900人は「通学が主で仕事もしている」と回答したようです。
これは高齢者の介護だけでは無いわけですが、超高齢社会の日本ではますます増えていく可能性が高いと考えると、大きな問題だと思います。
『 自給自足 』
サッカー以外は国産が好きですが、食品から日用品、文化や芸術も日本にいながら世界をより身近に感じることができる、そんな時代になってきました。
昔はクイズ番組に優勝したらサッカー部が肩からぶら下げているような飛行機会社のバッグをもらって夢のハワイ旅行にいく、そんな憧れだった世界はいま身近になりました。
そんな便利な時代になったことは一方でコロナの感染拡大の大きな要因になっています。
大阪と兵庫だけでなく世界が行き来を止め始めています、先行きが見えないいま、いよいよ自給自足を考えていかないといけない気がします。
大好きなコーヒーも、素晴らしいアメリカのビタミンCも、新しいiPhoneも、もしかしたらそう簡単に入ってこなくなるかもしれません。
そしてなにより生きていくために必要な食料品も、カロリーベースで37%(2018年)と総合食料自給率がただでさえ低い日本にとっては、改めて考える機会になっていると思います。
『 それぞれ 』
よく間違えるのですが”完璧”という漢字は”壁”ではなく”璧”です、土じゃなく玉で、玉とは美しい石、つまり宝石のことです。
完璧という言葉は中国の昔の話から出来た言葉なんだそうです。あのキングダムの戦国七雄の時代に、趙国の王が持つ玉(装飾品)を秦王から無傷で取り戻すことに成功します。
中国語で「完璧帰趙」(元のままの玉が趙に帰る)「壊すことなく元の姿のまま持ち主に返すこと」という意味を表すようになったんだそうです。
ただ現実には、完璧とはいかないことがほとんどなわけです。
人は違います、それぞれの立場によって様々な意見があります。
それぞれに大切なものや人があり、それぞれに守るべき人やものがあります。そしていま誰もが完璧を目指せなくなっています。
共通して守るべきものは守りながら、決められたルールを守りながら生きていかなければならない。それは人によっては大きな決断をしなければならないこともあります。
当たり前の日常が無くなってしまった以上、それぞれが変わらなければならないと思います。自信が無かろうが、先が見えなかろうが、柔軟に変わらなければならないと痛感しています。
いつのまにかもう春です、どうか大切なものは失わず頑張っていけますように。