英語でスロー( sloth )「遅い」、スペイン語でペレソソ( perezoso )「だらけている、ぐうたら者」と呼ばれるナマケモノは、名前の通りずっと木にぶら下がったままほとんど動きません。
食事や睡眠、交尾や出産も、木から逆さまにぶら下がったまま行い、長い場合は20時間も寝ているようです。
多くの哺乳類は体温を一定に保つ恒温動物で、体温を一定に保つためにエネルギーを必要とします、つまり食べなきゃなりません。一方でナマケモノは体温が25~35℃の間を変化する変温動物です。
他の動物が、体温を保つためにエサ探しを頑張っている間、ナマケモノだけはのんびりできるということです。
『 トイレ 』
少し憧れるナマケモノの暮らしにも意味があり、危険に対してゆっくり反応することで却って天敵の眼から目立たなくなるようです。
そしてほとんど木から降りないナマケモノが唯一、地上に降りて活動する時があります。それが週に一度のトイレなんだそうです。
なぜわざわざ危険な地上に降りるのか?
なぜトイレのときだけ地上に降りるのか?
その疑問に対する答えが英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に紹介されています。
ナマケモノの体には、「ナマケモノガ」と呼ばれている小さな蛾が住んでいるようです。
ナマケモノが地面に降りて排便するとき、この蛾がナマケモノの糞に卵を産み付ける、やがて幼虫になり、成虫になって再びナマケモノの体に向かう。
ナマケモノの体に住むナマケモノガの排便が肥料の役目を果たし、そこに雨水があたりやがて藻が繁殖します、その藻をナマケモノが食べる。
つまりナマケモノにとって貴重な栄養源になるわけです。
これが危険をおかしてでも、わざわざトイレで地上に降りる理由であり、いつもダラダラと怠けられる理由なんだそうです。
『 心の風邪 』
何をしていても楽しくない、興味がわかない、虚しい、意欲の低下、悪いことばかり考えてしまう、イライラ感がつのる、これらを医学的に「抑うつ症状」といいます。
そしてこれが “心の風邪” といわれる「うつ病」の主な症状です。
20年前と比べて3倍近く増えている「うつ病」は2017年に127.6万人と過去最多を更新しています。
背景として「うつ病」という病気が知れ渡ったことにより病院に行く人が増えたことや、昔に比べて過度なストレスがかかるようになったことなどが原因だと言われています。
『 老人性うつ 』
高齢者の”うつ”のことですが、認知症や老化と間違えやすく、放置してしまって悪化することも多々あるようですから注意が必要です。
「高齢者のうつの基礎知識」(厚生労働省)に詳しく書いてありますので参考までに。
年齢を重ねるということは心身の変化だけではなく、自分自身を取り巻く環境や関わる人も変わっていきます。
長年勤めていた職場を離れたり、大切な人との別れなど、今までの日常が崩れていきます。
当たり前だったことが無くなる、それは孤独を感じたり、不安を感じたり、大きなストレスになるのではないでしょうか。
そしてそれは誰にでも起こりうることではないでしょうか?
『 まわり道 』
私だけかも知れないですが、人間は基本的にナマケモノだと思います(私だけかも知れないですが)。
面倒くさいことはやりたくないし、なるべくなら楽をしたいもんじゃないかと思います。
寝坊したり、サボったり、ズルしてみたり、時にはそんなことをしてしまうのも人間らしいと思います。
長生きな時代だからこそ、こうでなければならない、こうしなければならない、ならない、ならない、だとどうしても窮屈です。
誰もが完璧ではなく、誰もがスーパーマンでもないわけです。
夏休みで田舎に行くたびに感じるのは、のんびりした時間や人のおおらかさです。
本数が少ない電車や、お盆休みには閉まるお店やガソリンスタンド、時々だからいいのかもしれませんが、都会より便利ではないけどはるかに居心地がいい。誰かが無理していない感じがいいのかもしれません。
“人生は遠回りしたほうがいい” と昔、誰かが言ってました。
日に日に便利に効率的になる世の中で、ただひたすらに前に進む時代から、より人間らしく生きていくことの価値が再発見されている気がしますし、その方が結局は効率もいいような気さえします。
最後にアメリカのカンザス大学などが、貝類などの代謝率と絶滅の関係を調査したところ、代謝率が低い「怠け者の種」ほど、生き残る確率も高くなるということがわかったようです。
人は貝ではありませんが、時にはナマケモノを見習ってみるべきかも知れません。
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