戦後の沖縄を撮り続けた写真家、山田實(やまだ みのる)さんが5/27に肺炎のため、お亡くなりになりました。98歳でした。
山田さんは沖縄県内で最高齢の写真家として子供達が遊ぶ様子や、釣り具を操る老人、那覇市内の街並み、地域の祭りなど庶民の生活に密着した写真を多く残されています。
1918年(大正7年)に那覇に生まれた山田さんは中学生の頃にトーゴー・カメラを入手して撮影を始めたようです。トーゴー・カメラとは特殊な1枚撮りのフィルムを使い自分で現像などが出来るカメラで、何より一番の特徴は値段が安いということだったようです。
昭和10年の大卒初任給が73円で、ライカのカメラが420円だったようですからカメラは超高級品だった時代にトーゴー・カメラは1円で売っていたので「円カメ」とも言われていて人気があったようです。
20代に戦争を経験された山田さんはソ連軍との交戦中に沖縄壊滅を知らせれており、敗戦後はシベリアに抑留され、飢えと過酷な労働に2年間耐えた後、沖縄に戻られて1952年那覇市に「山田写真機店」を開業されています。
久しぶりに帰った故郷が変わり果てている、どのようなお気持ちだったのか、考えるだけでも辛く悲しくどうしていいのか分からない感情だったのではないかと思います。
あえて庶民の日常を撮り続けられた理由は、今の現実を後世に伝えるという意味合いと、戦争で大変な経験をされたからこそ、あたりまえの生活こそが一番の幸せなんだとうことを伝えておきたかったのかもしれません。
写真には多くの情報がつまっている気がします。
昔の写真を使う「回想法」という認知症のリハビリテーションがあります。
認知症の情報がわかりやく紹介されている ”認知症ねっと” によると「回想法」は1960年にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提唱した心理療法で認知機能が改善することが明らかになり、現在介護施設などでも取り入れられています。
例えば若い頃の写真を見て昔のことを思い出そうとしたり、写真について会話をすることで自然と記憶力や集中力などが使われ、脳が活性化されます。認知症の進行を遅らせることが期待できるほか、元気だった頃の自分を思い出すことによって自信を取り戻すこともできるようです。
ヨーロッパで2016年6月に41人の認知機能が低下した高齢者を対象に行った検証では記憶だけでなく、行動や精神状態(不安やうつ症状など)が有意に改善したことがわかり、また日本でも国立長寿医療研究センターの遠藤英俊医師が65歳~86歳の人を対象に2年間検証を行い、認知機能が改善し、それが2年後まで効果が持続する可能性がある事を報告しています。
チャントチャントプロジェクトでチャレンジしたいことの一つが昔の写真を展示する写真展です。
シニアに関わる人達が中心になってシニアの方々の昔の写真を展示する写真展です。プロの写真家ではない普通の人が撮った普通の写真かもしれませんが、その写真にはその方しか知らない思い出があるはずです。
シニアの方は昔の話を楽しそうに話してくれます。でもそれを聞いてもらえる場所だったり、聞いてくれる人がいない人もたくさんいます。
写真があると自然と会話が始まります。家族やシニアに関わる人達が、昔の写真を見ながらシニアの方の話を聞いたりすることは認知症予防だけではなく、いつまでもシニアの方がいきいきと生活されるためのエネルギーになると思います。
ちなみにこの写真は私の母です。無断で載せてしまったので母が見ないことを祈ります。
シニアの自立には様々な方法があるはずです、このプロジェクトでは色々な立場の方々と共に学び形にしていきたいと考えています。
6/29 19時より東京都青山にて「ちゃんとちゃんとの学校」スタートします。もしご興味がある方は是非ご参加ください。
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