『生きがいを持ってシニアライフを送るためには?』

先日お会いした70代男性の方がこんな事をおっしゃっていました。

「2日ぶりに人と話をした」

その男性は現在一人暮らしで、予定がない日はほとんどを家の中でテレビを観たりしながら過ごしているそうです。そのため、外出をしない日は誰とも話をする事がないと。

この男性に限らず、近年ではこうした1日中誰とも話をすることもなく、頼れる人もいないというシニアの方が増えているのが現状です。

内閣府が発表している60歳以上を対象とした意識調査では、人との会話や近所付き合いの深さは「生きがい」と比例するという結果がでています。逆を言えば、何日も会話をすることなく、近所付き合いも希薄な人は生きがいを感じにくい人が多く、その先にあるのが「孤独」ということに繋がっているということです。

lgf01a201406161400

photo by StephaniePetraPhoto

■ボランティア活動が孤独を解消してくれる?

こうした孤独を解消するために、多くのシニアたちが意欲的に行っているのが「ボランティア活動」です。ボランティア活動に参加しているシニアに参加動機を聞いてみると、「自分自身の生きがいのため」と答えられた人が67%。次に「いろいろな人と交流できるから」「自分の知識や経験を活かす機会がほしかったため」と続きます。ボランティア活動を通じて、生きがいを得ようとされるシニアが非常に多いことがわかります。

しかしながら一方では、そうしたボランティア活動に参加してみたくても、健康面の不安であったり、気軽に参加できる活動がない、どのような活動をしているのが内容がわからないなどの理由で、参加を断念されている人も多いのだそうです。

ボランティア活動を主催する側としては、今後もっと多くのシニアが気軽に参加できるような企画や工夫も必要になってくるのではないでしょうか。

間もなく超高齢化社会を迎える日本。生きがいを持って楽しいシニアライフを送るためにはどうしたらいいのでしょうか?その答えはボランティア活動を通じた「人との交流」の中にあるのかもしれません。

『新しい事にチャレンジするのに年齢は関係ない』

ここ数年、シニア向けのパソコン教室というものを目にすることが多くなりました。シニア世代の方々からは、「パソコンは難しそう」「覚えるのが大変そう」と言う声も聞こえてくるのですが、逆に「パソコンを覚えたい」と言うシニアの方も非常に増えているそうです。

私の知人にもパソコン教室を開校している人がいるのですが、平日の昼間に来られる生徒さんの多くは、65歳以上のシニア層の方々だと言っていました。知人の教室では入会時に「パソコン教室に通いたいと思った理由は?」という質問をするそうです。もちろん理由は皆さんそれぞれあるようですが、多くの方が「趣味」として始めたいと言われるそうです。

今まで得に趣味らしいものがなかった方も、家で気軽に始めることができる趣味の一つとしてパソコンは人気のようです。

gf01a201309162000

Photo by Alan Toniolo de Carvalho

■シニアブロガー

最近ではシニア世代の方のブログもよく見かけるようになりました。そんなシニアブロガーの中でも、テレビなどのメディアで紹介され一躍有名になったのが徳島県にお住まいの「さっちゃん」こと堀江幸子さんです。

堀江幸子さんは、80歳の時にパソコンを購入し、84歳でブログをスタートさせています。それ以来6年間、自筆の水彩画と日々の雑感を毎日アップしていました。「していました」と書いたのは、今年2016年5月9日に94歳6ヶ月の長寿を全うして永眠されたからです。さっちゃんは、その時が来る直前までブログのアップをされていました。

70歳の頃から本格的に習い始めたという絵は、四季折々の優美なものばかりで、個展を開かれる程の腕前です。文章は日々の雑感だけでなく、物語や短編なども書かれていて、90歳の頃には短編集「藍の風」を出版されています。

現在では毎日ではないですが、さっちゃんの弟さんがブログを引き継いで、さっちゃんの過去の投稿や作品を紹介する形でアップされ続けています。

さっちゃんは「歳だから」という理由で何かを諦めるのではなく、様々な新しい事に挑戦をし続けました。覚えるのに時間がかかったり、物忘れが多くなったりしても、それを逆に楽しんでいたりした様子がブログから伺えます。

皆様も、新しい「趣味」見つけてみてはいかがですか?

 

「秘密の小箱」(堀江幸子/著 扶桑社/刊 『また、明日。』より)

短歌の友達が
贈ってくれた菓子折り

セットの中のひとつ
「藍大尽」の小箱

誰にも食べられる心配がない
ひとり暮らし

でも、これだけは
見つからない秘密のところに隠してある

忘れた頃
「あれ!こんなところに小箱が?何かしら・・・」

見つけたときの喜びをたくらんでいる

物忘れのひどくなった
歳よりの秘かな楽しみ

 

 

『物忘れと認知症の違い』

仕事で多くのシニア世代の方と話す機会が多いのですが、皆さんと話をしていると、とても多く出てくるキーワードがあります。

それが「あれ」という言葉。

「ほら、あれよあれ!」皆さんも使うことがありませんか?例えば場所の名前が思い出せない、物の名前が思い出せない、人の名前が思い出せない時などによく使ってしまいがちですよね。

人間の記憶力のピークというのは、30~40歳頃までなのだそうです。それを過ぎると記憶力というものは低下し始め、「物忘れ」という生理的現象が現われます。しかし、これが単なる生理的な「物忘れ」であればいいのですが、中には病的な物忘れというものもあります。これが「認知症」です。

厚生労働省では、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しています。これは65歳以上の5人に1人が罹患する計算となっています。

認知症は放っておくとどんどん進行していきます。最初はちょっとした物忘れかな?という程度のこともあるため、その症状に気づきにくく、わかった時には随分とその症状が進行してしまっていることも多くあるそうです。

そこで、今回は生理的物忘れと病的物忘れの違いについてをご紹介したいと思います。

3868836315_67213c3752

photo by MrGuilt

■生理的物忘れと病的物忘れの特徴

◆生理的物忘れの特徴

  • 人の名前や物の名前が思い出せない、漢字が思い出せない
  • 言葉を言い間違える
  • 言葉がとっさに出てこない、言葉に詰まる
  • 置き忘れやど忘れ、立ち上がった途端に用事を忘れる
  • 勘違い

◆病的物忘れ(認知症)の特徴

  • 今日の日付が思い出せない
  • 使い慣れた道なのに迷う
  • 使い慣れている物の道具の使い方がわからない
  • 前に買ったことを忘れ、同じものを度々買ってしまう
  • 同じことを何度も聞いたり言ったりする
  • 趣味や楽しみに対する関心がなくなる

生理的物忘れは、その場では思い出せなくても後で思い出せたり、また、忘れたり言葉が出てこないことに対して、自分で明白な自覚があります。

一方病的な物忘れでは、以前に自分がした経験そのものが残らないという忘れ方をします。また、忘れたことに対して明白な自覚症状というものがなく表面的な自覚しかありません。これは、自分を省みるということが困難になっているためです。

認知症は早めに気づいて、適切な治療をすることにより、その後の症状の進行を遅らせることは可能です。これらのチェックは、認知症の症状が出てきてしまってからでは、自分でチェックすることが難しくなります。周りの人たちが、少しでもおかしいかな?と感じる事があれば、確認のため本人にこうしたチェックを促してあげることも大切です。

是非こうしたチェック項目を参考に、早期発見早期治療に努められるようにしてみて下さい。