頼られるシニアに!「ひとつ屋根の下プロジェクト」 

チャントチャントプロジェクトでは「自立」「行動」「革新」というテーマで、シニアのライフデザインをしていくプロジェクトです。

今回は「革新」。頼られるシニアについてです。

 

■頼られるシニアのためのプロジェクト

さて、皆さんは「ひとつ屋根の下プロジェクト」というのをご存知でしょうか?このプロジェクトは東京・文京区のNPO法人、街ing本郷が進めているプロジェクトです。

その内容はというと・・・

一人暮らしの元気なシニアと遠方から大学に通う大学生をマッチングして、シニア宅の空き部屋を借りて生活し、共生するという取組です。

海外などではこうした異世代が共に暮らす「ホームシェア」というのが、珍しくない国もあると聞きますが、日本ではまだあまり浸透していないのではないでしょうか。

このプロジェクトを知った時、私は最初「若者がシニアを助ける、ボランティアのような活動なのかな?」と思いました。ところが、内容を読んでいくうちにその考えは間違いであることに気づき、また、反省をしなければと感じました。

なぜなら、このプロジェクトに参加されたシニアの方たちは、「誰かの助けを必要としているわけではない」元気な人ばかりで、逆に学生の面倒を見てあげることができる人が多いのです。

「シニア=手助けをしてあげなければ」ではなく、元気なシニアはたくさんいるのです。しかし、そのシニアの方々の活躍の場が少なく、結局は家から出る事も少なくなり、誰とも話をしないで過ごす日々を送らざるを得ない状況になっています。

このひとつ屋根の下プロジェクトは、こうした元気なシニアに活躍の場を提供することで、その結果引き籠りなどの孤独を防ぐ、痴呆症の予防、寝たきりなどの予防へのアプローチに繋がり、シニアの更なる元気を応援するものなのだと感じました。

誰かから頼られることは、心も体も元気にし、それが自然と介護予防に繋がっていくのだと思います。

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Photo by  Reinante El Pintor de Fuego

 

チャントチャントプロジェクトでも、こうしたシニアの活躍出来る場所の提供、シニアが元気に参加できる企画などをスタートさせていきたいと思っています。

 

 

『快適なシニア生活を送るために不可欠な「行動」』

チャントチャントプロジェクトでは「自立」「行動」「革新」というテーマで、シニアのライフデザインをしていくプロジェクトです。

さて、今回お届けするのは「行動」についてです。

■元気の秘訣

加齢にともない減少する「行動」

仕事柄多くのシニア層の方にお目にかかりますが、私がお目にかかったことのある中での最高齢の方は、なんと御年103歳です。女性の方なのですが、103歳であっても自宅から約1時間以上かかる道のりを、ご自身で電車に乗り、そしてご自身の足でしっかりと歩いてイベント会場までお越し下さいます。

なぜそんなにお元気なのか、その秘訣は何ですか?と聞いたことがあります。するとそのシニア女性は二つの秘訣を教えて下さいました。

まず一つは「粗食であること」

その方は冗談交じりに、「お金がないから美味しいもが食べられないのよ~」と笑っておられましたが、食事にはなるべく気を使ってシンプルな食事を心がけているとの事でした。

そしてもう一つが「動くこと」

とにかくジッとしていることが嫌いで、家の中にいても動き回っているそうです。散歩も毎日欠かさず、1時間以上は歩くとの事。90歳を過ぎてからこそやらなくなってしまったものの、それまではスポーツも好きでテニスや水泳なども続けておられたそうです。「動けるうちは動き続けたいわ」とその方はおっしゃってました。

■加齢にともない減少する「行動」

年齢を重ねるにつれて、「行動」する(または活動する)機会は減少傾向にあります。これは、例えば視力の低下や脳機能の低下、そして運動機能の低下などに起因するからだと言われます。

特に近年では、運動機能の低下によって行動が制限され、それが原因で痴呆症を招いたり、転倒して寝たきりになったりということが問題視されています。

しかし、年齢を重ねたからと言って、運動機能の低下が誰でも同じように起こるのかというとそうではありません。先にご紹介したように、100歳を超えても運動機能を維持されている、元気なシニアの方も多くいらっしゃいます。

元気に快適なシニア生活を送るためには、この「行動」の部分である運動機能を保つことは、とても重要な要因となります。

では、運動機能の低下を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?

■運動機能低下を防ぐには

運動機能を保つために必要なのは、「運動の習慣を持つこと」だと言われています。文部科学省が毎年行っている体力・運動能力テストの結果を見るとわかるのですが、週一回以上の運動を行っている人は、運動習慣のない人に比べて運動能力の総合点が高いことがわかります。運動能力が高いからこそ、習慣的に運動ができるのでは?とも思えますが、習慣的に運動をしているからこそ、運動機能低下の予防がしっかりとできているとも言えます。

かと言って、今までに運動習慣のなかった人が、継続して運動を行うことは難しく、また、突然の激しい運動は身体への負担も大きく危険です。まずは近所へ買い物に出かける、友人を訪ねるなど、日常的な「行動」を増やし、慣れてきたら散歩やウォーキングを取り入れてみるようにするのがお勧めです。

また、地域によってはシニア向けの運動教室などを開催している所も多いので、そうしたところを利用してみる、さらに最近では大手スポーツクラブなどでも、シニア専用の施設を設けて、専門トレーナーによるプログラムなども増えていますので、そうした施設を訪れてみるのも楽しいかもしれません。

■運動機能を保つことは生活習慣病の予防にも

運動機能の低下は、肥満を招く原因ともなり、それがもとで高血圧や糖尿病、心疾患といった生活習慣病を引き起こす危険もあります。運動機能を保つことは、こうした病気のリスクを減らすことにも繋がりますので、積極的に運動の習慣をつけていきたいものです。

ただし、「運動をしなければならない!」と、そればかりを気にしていてはそれがストレスとなり、逆に身体を壊してしまうことも。まずは自分が出来る範囲の「行動」を見つけ、楽しみながら体を動かすことが大切ではないでしょうか。

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Photo by  chaysbc

チャントチャントプロジェクトでは、快適なシニア生活を送るためのお手伝いとして、シニアの方がもっと「行動」しやすいイベントなどの企画も考えていきたいと思っています。

『シニアにとって本当の「自立とは何か」を考える』

私たちは仕事柄、年間何千何万という多くのシニアの方と接することが多いのですが、そんなたくさんの方とお話しをさせて頂く中、よくこんな話を聞くことがあります。

「娘(息子)に世話にならずに、自分のことは自分で出来る高齢者でありたい」

本当に多くのシニアの方が、これを望んでいます。「自分のことは自分で」=「自立」ということですよね?

しかしこの自立にも種類がある事をご存じでしょうか?今回は「自立とは何か」を少し考えてみようと思います。

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Photo by FotoChronicie

■自立には種類がある

一口に「自立」と言ってもこれには「身体的自立」「経済的自立」「精神的自立」といった3つの要素があると言われています。

身体的自立とは、健康で身の回りの事などは全て自分でできること。

経済的自立とは、自分の年収(年金や預貯金など)で生活費をまかなえること。

この二つに関しては明確な指標があるのに対して、精神的自立というのは、その人の満足感であったり幸福感などに左右されるところが多く、またこれらは個人の尺度によって異なるので、一概には精神的に自立ができているかどうかを判断することは難しいです。

そこで、精神的自立について調べてみたところ、精神的自立度を評価する興味深い評価スケールを発見しましたので、ご紹介したいと思います。

精神的自立度尺度(国立長寿医療研究センターより抜粋)

A 趣味や楽しみ、好きでやる事をもっている

B これからの人生に目的を持っている

C 何か夢中になれることがある

D 何か人のためになることをしたい

E 人から指図されるよりは自分で判断して行動する方だ

F 状況や他人の意見に流されないほうだ

G 自分の意見や行動には責任を持っている

H 自分の考えに自信を持っている

これらの設問に対し、「そう思う(1点)」「どちらかというとそう思う(2点)」「どちらかというとそう思わない(3点)」「そう思わない(4点)」として、点数が低い方が精神的自立度が高いというように評されます。

あくまでも一つの目安としての評価スケールですが、案外点数が高いというシニアの方が多い事に気付かされます。

 

■「自立」とは自分の人生にきちんと責任を持って生きている人

健康であっても、経済的にゆとりがあっても、何の目標もなく他人に依存し、また不満ばかりを抱えて生活をしていては、それは本当の自立とは言えないのではないでしょうか。

本当の自立とは、健康であり経済的なゆとりも大切ですが、自分の意志で物事を判断し自分の責任で行動ができる、すなわち「自分の人生にきちんと責任を持って生きる」ということなのではないでしょうか。

私たちチャントチャントプロジェクトでは、本当の意味での「自立」を応援していくためのご提案などもさせていただきます!