『 10 』

先日、知り合いのやっている居酒屋さんに行きました、そして珍しく真面目な話をしました。飲食業界も大変な状況で、それをどう乗り越えようかという話でした。

私が呼ばれた理由はそういう真面目な話ばっかりだと疲れちゃうから、それを和らげる緩衝材みたい役割で呼ばれたようです、あのプチプチみたいなもんです。

まあ、でも居酒屋の醍醐味は意味が無い話をすることじゃないのかなぁと思っています。

愚痴を言ったり傷を舐め合ったり、非生産的なことばかりやって過ごす時間がいいわけです。早く意味のない時間を過ごせるようになればいいなぁと思いながら、真面目な話を聞いていました。

 

10

10月からは電気代やガス代も含めて値上げラッシュが続いていますが、75歳以上の方の医療費の窓口負担額も変わっています。

今までは75歳以上は1割負担でしたが、10月からは75歳以上の方でも一定の所得がある人には、医療費の負担割合が1割から2割に変更になります。

一定の所得とは課税所得28万円以上かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が200万円以上になる場合なんだそうです。

今までも70歳以上で現役並みに所得(課税所得が145万円以上)がある人には3割負担でしたが、今回の変更によってさらに負担する人が増えることになりました。

1割が2割になるということは窓口負担は倍になるわけですから、そうなると75歳以上でちょっと働きたい人は考えてしまいます。

 

また介護保険料についても「上がった」という話をよく耳にします。

介護保険制度とは介護が必要になった高齢者を社会全体で支える仕組みです。40歳になると介護保険に加入が義務付けられ保険料を支払うことになります。

介護保険のサービス(サービスを受けるには原則1割の自己負担が必要で、ただ前年度の所得によっては自己負担率が2割か3割になります。)を受けられるのは原則として65歳以上の人で、40歳から64歳までの方は介護保険料は支払いますがサービスは受けられません。

そして65歳以上の方も介護保険料は支払います。

そして65歳以上の方が支払う介護保険料は年々値上がりしている傾向にあります。2020年まで介護保険料の全国平均は月額5,000円台でしたが、2021年の全国平均は月額6,014円で初めて6,000円を超えました。

市区町村が運営する介護保険料は地域によってかなり差があり、負担額が大幅に増えているところもあるようです。

消費税を10%に増税した理由は、主に年金や医療など社会保障の財源確保のためですが(本当にそこにつかわれているかは分からないですが)、少子高齢化や不景気、そこにコロナの影響もかさなり、10%にしたところであちらこちらでそのしわ寄せを感じ始めている気がします。

これからは「自分のことは自分で責任をとれ」といわれているようで、長生きするのも大変な時代になってきた気がします。

わけのわからない旅行支援をする前に、他にやることがあるだろうと思います。

 

『 HDI 』

HDIとは人間開発指数(Human Development Index)といって健康、教育、所得という3つの側面から、その国の発展レベルや豊かさを測るための指標です。

国民総生産(GNP)や国内総生産(GDP)では、その国の経済的な豊かさを知ることができるが、そのお金がどう使われているのかは分からない。
一方HDIでは、その国がどんな分野に力を入れているのか、つまり何にお金を使っているかを知ることができるのが違いです。

2019年の1位はノルウェーで、2位がアイルランド、3位がスイス。

1位のノルウェーは医療、教育などの福祉サービスが公的資金で行われていて、それが平均寿命や教育指数といったHDIの数値に大きく影響しているようです。

平均寿命ではトップクラスのはずの日本は19位、日本に不足していることは北欧諸国のような教育や医療サービスの無償化など、つまり福祉面の改善が必要なんだそうです。

どっかの市長さんみたいなことをやらないといけないんだと思いますし、やろうと思えば出来ることはまだまだある気がします。

 

「幸せ」とか「豊かさ」はあいまな表現ですが、そこにはそれを支える基盤が必要です。子どもが安心して育てられる、老後を心配しなくても生きていける。

そんな当たり前の暮らしがあって初めて感じることができるんじゃないかと思います。

 

「楽しかった、何を喋ったか覚えてないけど、意味のない話ばっかりしたような気がするよ」

「意味のある話ばっかりじゃ疲れちゃうよ、楽しかったからいいんじゃない?」
と居酒屋の帰り道によくそんな会話をします。

 

どうでもいいことは無いよりはあったほうがいいと思います。

無くていいという人もいるし、時間の無駄だという人もいるけど、そんなことがあったほうが楽しい人生な気がします。
そんな時間を過ごすためにも出来ることを探さなきゃならない、探せばできることはまだまだある気がします。

 

『 あれから 』

2020年9月1日、ちゃんとちゃんとの学校に手紙が届きました。

そこには

急性前骨髄球性白血病と診断され年齢的にも難しいと言われたけど、前向きに考えるようにします、どんな苦しい治療でも受けます、奇跡を起こすと決めています。

と書かれていました。

 

2019年に『ちゃんとちゃんとの学校 学園祭』に参加していただいた星島美子さんからの手紙でした。

学園祭で星島さんのお話を聞いていただいた方々からのメッセージを、後日星島さんに送りました。そのメッセージを何回も何回も広げて見ています、とも書かれていました。

 

あれから約2年に及ぶ大変な抗がん剤治療が終わり、その結果が昨日分かったと、1時間前に星島さんから連絡がありました。

「ありがとうございました、奇跡がおきました、とにかくみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。」

星島さんが、何度もみなさんのおかげと言われていましたので、お知らせしたくて書きました。

本当に良かった。

 

『 老人とドローン 』

3年ぶりに帰省しました。

小さな車に大きくなった子供たちを乗せて、7時間近くの移動はそれなりに大変でした。

ただ成長した孫の姿を見て喜んでくれたことを考えると、他にここまで親を喜ばせる方法などなかっただろうし、きっといくらか寿命が延びたはずですから、良かったと思います。

子供たちが成長して親も歳をとってきたことを思うと、これからは今までのように当たり前に会うことは難しいというか、それぞれのタイミングを合わせることは簡単ではないと思いました。

そんな訳で帰れるときに帰っておかないとということが帰省の目的でしたが、帰省のもうひとつの目的はドローンを飛ばしてみることでした。

空を自由に飛びまわり、鳥のように空から見る景色は非日常的で最高です。

10年前くらいに最初に買ったドローンは大きくて、飛べる高さは15メートルくらいで、付いているカメラも画像が悪かったのですが、今のドローンはスマホくらいの大きさで3000メートルくらいは飛べて、カメラは4Kでジンバルもついていて綺麗でブレない画像や動画が撮れるようになっています。

ドローンの進化は凄いスピードだと思います、ただ一方でドローンの歴史は規制との闘いでもあります。

2015年には重量が200g以上のドローンの飛行に国土交通省による航空法の規制がかかるようになり、空港等の周辺の空域、地表または水面から150m以上の高さの空域、人口集中地区の上空においては事前に国土交通大臣の許可が必要になりました。

そして今年の6月から100g以上にその範囲が拡大されました。

そして航空法以外にも道路交通法、小型無人飛行禁止法、都市公園法、自然公園法などの法令があり、さらに各地方自治体ごとに独自にドローンの飛行を禁止する条例が定められています。

条例により飛行を禁じられたエリアでは、たとえ国土交通大臣の許可を受けていても飛行ができないことがあります。

どんどん高性能になっていくドローンに対して、網の目のように張り巡らされていく規制、ドローンは飛ばせる場所は都市部にはほとんどありません。

そこで田舎に帰ったからには思う存分飛ばしてやろうとドローンを持ってきたのですが、ふと見ると孫に使い方を教わり、孫以上に興奮する老人がいました。

そういえばこの人は新しいものが好きだったのを思い出しました。暇さえあれば電気屋さんに行き、VHSのビデオデッキが発売されたら真っ先に買ったり、ビデオカメラも出たらすぐに買っていました。

そうだったと思ってからあらためて見ると、いつまでも少年のような老人が本当の少年と遊んでいるように見えました。

 

『 ドローンの可能性 』

介護に関するAIやDXについて研究するメディア『AIケアラボ』にドローンが介護の分野でも活躍していることが紹介されていました。

長野県伊那市(いなし)はKDDIと連携して、買い物に行けない高齢者を支援する事業としてドローンでの食材空輸サービスを導入していたり、岡山県和気町(わけちょう)ではヤマト運輸と連携して医薬品をドローン配送する実証実験を行っているんだそうです。

また写真SNS「フォト蔵」などを運営する OFF Lineでは認知症患者の「外出検知」と「徘徊を見守る位置情報システム」を開発し、金沢市内において大規模な実証実験を行っているようです。

様々な可能性が期待されているドローンですが、徳島大学や東海大学などの研究グループが、介護を必要とする患者が眼球でドローンを遠隔操作するシステムについて研究しているようです。

アイトラッキング(視線追跡)装置が介護が必要な患者の視線を追跡してそのデータが遠隔地に送られます、そしてそのデータに基づいて遠く離れたドローンが動くんだとか、現在はサポートするスタッフがいる状態ではありますが成功しているようですから、かなり興味深いです。

年齢と共に身体は不自由になりがちですが、年齢に関係なく誰でも簡単に、遥か遠くにあるドローンを自由に動かせるとは夢があります、今後ますます可能性が広がっていく研究だと思います。

 

 

『 80 』

時々取りつかれたように部屋の掃除をするタイプの人間ですが、ふと気づいたことがあります。
掃除のとき『これはどうしたらいいんだろう?』というものを入れる箱があります。捨てるにはもったいないけど、使う予定もない、そんなものを一時的に入れておく箱です。

気づけばそんな箱だらけになっていました。  

貧乏性で思い切りのない私らしいのですが、思い返せば断捨離だと捨てようとした時期もあったりしたのですが、まだ捨てられない。
そして久しぶりに帰省した実家は、私の部屋の未来を見ているような、よりそんなものだらけの様子でした。
久しぶりの実家は奇麗でもないし、よく分からないものばかりが置いてありました、昔から特に好きでもなかったはずが、それもいいかもしれないと思うようになりました。
 
近頃は効率よく、うまく生きていく生き方が注目されていますが、そればっかりだと窮屈でつまらない気がします。
ドローンの規制みたいに自由に生きにくい時代に、流されないように、自分の思うように生きていくことは難しい、けれども大切だと感じた3年ぶりの帰省でした。
 
来月で80歳になる父親が言いました。

 

「誕生日にドローン買ってくれ」

 

こんな80歳もいいかもしれない。