『園芸の知られざる健康効果』

近年、自宅で園芸(ガーデニング)を楽しむシニアが増えたように感じます。私の周りでも、マンションのベランダで寄せ植えを楽しむ方から、庭や敷地内で本格的に野菜を育てている方まで、多くの人たちが園芸を楽しんでいます。

今、こうした趣味の園芸(ガーデニング)が、医療の現場で活用され始めているのをご存知ですか?
園芸には実は様々な健康効果があることから、「園芸療法」と言って、心身的、精神的な症状を抱えている人や、病気などが原因で損なわれてしまった機能の回復などに用いられているのです。

gf01a20150203200085eoe

Photo by KAIProductions™ (改変 gatag.net)

■園芸がもたらす健康効果

園芸は「視覚」「触覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」といった五感を刺激します。これら五感が刺激されることによって、ストレスの緩和や気分の向上など心身に良い影響を与えてくれます。

また園芸作業中は、立ったりしゃがんだりを繰り返す動作が多い事から、運動不足の解消に繋がり、ダイエットやメタボの解消にも効果的です。

さらに自分が世話をした植物の成長や収穫などは、やりがいや生きがいをもたらし、うつ症状や不安が和らぎ精神状態を安定させることにも繋がります。

こうした様々な効果があることから、薬を使用しない認知症ケアとして介護施設でも関心が高まっています。また、脳梗塞などの病気によって、麻痺が残ってしまった患者さんへのリハビリとしても活用され始めています。

■コミュニケーションツールとしても役立つ

園芸は病気の予防改善だけでなく、人とのコミュニケーションツールとしても役立ちます。
実際に園芸療法を取り入れている施設では、全く人とコミュニケーションを取らずに口数の少なかった方が、園芸を通じてコミュニケーションがうまく取れるようになった人が大勢いるとの報告もあります。

 

園芸は、自宅で気軽に始めることができる趣味の一つだと思っていましたが、趣味の域を超えて、病気の予防や改善に繋がるという結果が既にたくさん報告されています。

「園芸って難しそう」と思う方は、ベランダで小さな鉢植えを育ててみる、庭の草むしりをしてみるなど、ちょっとしたことから始めてみてはいかがでしょうか。