『 老人とドローン 』

3年ぶりに帰省しました。

小さな車に大きくなった子供たちを乗せて、7時間近くの移動はそれなりに大変でした。

ただ成長した孫の姿を見て喜んでくれたことを考えると、他にここまで親を喜ばせる方法などなかっただろうし、きっといくらか寿命が延びたはずですから、良かったと思います。

子供たちが成長して親も歳をとってきたことを思うと、これからは今までのように当たり前に会うことは難しいというか、それぞれのタイミングを合わせることは簡単ではないと思いました。

そんな訳で帰れるときに帰っておかないとということが帰省の目的でしたが、帰省のもうひとつの目的はドローンを飛ばしてみることでした。

空を自由に飛びまわり、鳥のように空から見る景色は非日常的で最高です。

10年前くらいに最初に買ったドローンは大きくて、飛べる高さは15メートルくらいで、付いているカメラも画像が悪かったのですが、今のドローンはスマホくらいの大きさで3000メートルくらいは飛べて、カメラは4Kでジンバルもついていて綺麗でブレない画像や動画が撮れるようになっています。

ドローンの進化は凄いスピードだと思います、ただ一方でドローンの歴史は規制との闘いでもあります。

2015年には重量が200g以上のドローンの飛行に国土交通省による航空法の規制がかかるようになり、空港等の周辺の空域、地表または水面から150m以上の高さの空域、人口集中地区の上空においては事前に国土交通大臣の許可が必要になりました。

そして今年の6月から100g以上にその範囲が拡大されました。

そして航空法以外にも道路交通法、小型無人飛行禁止法、都市公園法、自然公園法などの法令があり、さらに各地方自治体ごとに独自にドローンの飛行を禁止する条例が定められています。

条例により飛行を禁じられたエリアでは、たとえ国土交通大臣の許可を受けていても飛行ができないことがあります。

どんどん高性能になっていくドローンに対して、網の目のように張り巡らされていく規制、ドローンは飛ばせる場所は都市部にはほとんどありません。

そこで田舎に帰ったからには思う存分飛ばしてやろうとドローンを持ってきたのですが、ふと見ると孫に使い方を教わり、孫以上に興奮する老人がいました。

そういえばこの人は新しいものが好きだったのを思い出しました。暇さえあれば電気屋さんに行き、VHSのビデオデッキが発売されたら真っ先に買ったり、ビデオカメラも出たらすぐに買っていました。

そうだったと思ってからあらためて見ると、いつまでも少年のような老人が本当の少年と遊んでいるように見えました。

 

『 ドローンの可能性 』

介護に関するAIやDXについて研究するメディア『AIケアラボ』にドローンが介護の分野でも活躍していることが紹介されていました。

長野県伊那市(いなし)はKDDIと連携して、買い物に行けない高齢者を支援する事業としてドローンでの食材空輸サービスを導入していたり、岡山県和気町(わけちょう)ではヤマト運輸と連携して医薬品をドローン配送する実証実験を行っているんだそうです。

また写真SNS「フォト蔵」などを運営する OFF Lineでは認知症患者の「外出検知」と「徘徊を見守る位置情報システム」を開発し、金沢市内において大規模な実証実験を行っているようです。

様々な可能性が期待されているドローンですが、徳島大学や東海大学などの研究グループが、介護を必要とする患者が眼球でドローンを遠隔操作するシステムについて研究しているようです。

アイトラッキング(視線追跡)装置が介護が必要な患者の視線を追跡してそのデータが遠隔地に送られます、そしてそのデータに基づいて遠く離れたドローンが動くんだとか、現在はサポートするスタッフがいる状態ではありますが成功しているようですから、かなり興味深いです。

年齢と共に身体は不自由になりがちですが、年齢に関係なく誰でも簡単に、遥か遠くにあるドローンを自由に動かせるとは夢があります、今後ますます可能性が広がっていく研究だと思います。

 

 

『 80 』

時々取りつかれたように部屋の掃除をするタイプの人間ですが、ふと気づいたことがあります。
掃除のとき『これはどうしたらいいんだろう?』というものを入れる箱があります。捨てるにはもったいないけど、使う予定もない、そんなものを一時的に入れておく箱です。

気づけばそんな箱だらけになっていました。  

貧乏性で思い切りのない私らしいのですが、思い返せば断捨離だと捨てようとした時期もあったりしたのですが、まだ捨てられない。
そして久しぶりに帰省した実家は、私の部屋の未来を見ているような、よりそんなものだらけの様子でした。
久しぶりの実家は奇麗でもないし、よく分からないものばかりが置いてありました、昔から特に好きでもなかったはずが、それもいいかもしれないと思うようになりました。
 
近頃は効率よく、うまく生きていく生き方が注目されていますが、そればっかりだと窮屈でつまらない気がします。
ドローンの規制みたいに自由に生きにくい時代に、流されないように、自分の思うように生きていくことは難しい、けれども大切だと感じた3年ぶりの帰省でした。
 
来月で80歳になる父親が言いました。

 

「誕生日にドローン買ってくれ」

 

こんな80歳もいいかもしれない。

 

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