『 TMT 』

大阪駅から少し歩いたところに露天神社(つゆのてんじんじゃ)があります。

元禄16年(1703年)にこの神社で心中事件がありました。

堂島新地の遊郭の遊女「お初」と、醤油屋の手代(てだい)「徳兵衛」は訳あって一緒になれない2人でした。ならば死んで添い遂げようと心中した。

この実際にあった心中事件を題材に、近松門左衛門が人形浄瑠璃「曽根崎心中」を書きました。

その「露天神社」はヒロインの名前「お初」にちなんで「お初天神」と呼ばれるようになったようです。

そんなお初天神のすぐそばに大好きな居酒屋さんがあります。

お初天神から続く細い路地を通ると古びた小さな看板があります、狭くて急な階段を上ったところにその店があります。

よく行くバーの店長からのお勧めで知ったこの店は、コロナの前までは年末にお邪魔していました。美味しい料理と日本酒と、なによりその店の雰囲気が他には無いお店です。

コロナも落ち着いたので久しぶりに行ってみるかと電話をしましたが、なかなか繋がらない。

おかしいなぁとググってみたら1ヶ月前にその辺りで「計10棟、約360平方メートルが燃える火災があったが、けが人はいなかった。」というニュースを見つけました。

恐る恐るそのニュース動画を見るとそのお店の場所に近い。急いで紹介してくれたバーの人に聞いたところ全焼したということを知りました。

その店で過ごした楽しかった時間まで燃えてしまった気がして、悲しくてやりきれない気持ちになりました。

子どもの頃に、姫路にいるカメラ屋さんをしている従姉妹の家が燃えたことがありました。燃えさかる家の前になすすべもなく立ち尽くす、その隣で従姉妹はこんなに泣くんだというくらい泣いてました。

とにかく悲しいなぁ、お店の方々も大変だろうなぁ、あの鯖サンドまた食べたいなぁ。

悲しいことはだいたい突然くるもんです、準備なんてしてないから余計に悲しい、なんとかならないものかといつも思う。

 

『 TMT 』

TMTとは『30m望遠鏡』(Thirty Meter Telescope)の略称です。

このTMTはレンズの口径が30メートルもある史上最大の地上望遠鏡で、アメリカ、 カナダ、 中国 、インド、日本の5か国共同でハワイのマウナケア山頂に建設中です。

このとんでもないデカさの望遠鏡が注目されている理由は、宇宙が誕生した起源がわかるのではないかと言われているからです。

いったいなんの話なのかというと、今見ている宇宙の姿は今の姿ではないという話です。

私たちは星空を見るときにその天体から届く光で見ています。

「光年」という単位がありますが、光年は光が1年間に移動する距離をもとに定められていて、例えば100光年離れた天体から届いた光は今から100年前にその天体から放たれた光ということになるんだそうです。

なんだか分かったような分からないような話です。

今の姿はわかりませんが、代わりに過去の姿は観測できるんだと言うことのようです。

TMTのような望遠鏡を使えば今からおよそ138億年前に始まったとされる宇宙の過去の様子も知ることができるんじゃないかと期待されているようです。

138億年前を知りたければ138億光年先の天体を観測すればいいという話です。興味のない人にはどうでもいい話だと思いますが、僕にはワクワクする話です。

この話はたまたま読んだ生物学者の小林武彦さんの著書『生物はなぜ死ぬのか』に書いてあったんですが、そこには宇宙の誕生の話から、地球に奇跡的な確率で生物が誕生したという話や、また多種多様な生物が生息している話などが書かれていました。

一見関係のないような生物達がお互いにつながり合って、支え合って生態系をつくっていることや、またひとつでも欠けると成り立たないバランスで成り立っていることなんかが書いてあり面白かったです。

やっぱり無駄なものなど何もないことがわかり、またそれを忘れてしまいがちなこともわかりました。

 

「たりない」

総務省が9月19日に発表した「統計から見た我が国に高齢者」によると65歳以上の人口は3640万人と、前年(3618万人)に比べ22万人増加して過去最多となりました。

総人口に占める割合は29.1%と過去最高となり、その割合は世界で最も高く2番目に高いイタリア(23.6%)を大きく離しての大谷翔平選手ばりのぶっちぎりの1位です。

また高齢者の就業率は25.1%(2020年※)となり、9年連続で前年に比べ上昇しています。
65~69歳は49.6%となり、70歳以上は17.7%となっています。世界では1位の韓国34.1%に次いで2位です。

年齢にとらわれず社会で活躍する方も増えた一方で、介護の問題もあります。

 

21日の日本経済新聞の記事によると政府は介護の人員規制の緩和を検討しているようです。

従来の介護施設の入所者3人につき少なくとも1人の職員を配置する現行の基準を見直し、1人で4人に対応できるようにする案を軸に調整するとのことでした。

センサーなどのITの活用で介護現場の生産性を高めるなんて書いてありますが、財政を圧迫する社会保障費の削減だけが目的な気がしてなりません。

また11月19日の閣議決定において「保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員」を対象に「収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置」が来年2月から実施されます。

2020年の介護職員の平均月収は23万9800円、保育士は24万5800円。全産業平均の30万7700円を大きく下回っているなか、どう考えても9000円は少な過ぎます。

また同じ介護事業所で働いていても、ケアマネジャーや生活相談員、看護師などの他職種は対象にならない可能性や、補助金は経営者に支給され、その配分の裁量は経営者に与えられているため本当に9000円すら上がるかどうかも不透明なんだそうです。

いったい何のための消費税の増税だったのかとつくづく思います。

 

長生きの時代の真っ只中を生きているわけですが、今までの65歳以上というイメージは現実には既になくなっていて、これまで以上に年齢層が幅広くカラフルなグラデーションな時代になってきている気がします。

そんな時代では、社会にとって役に立つということだけで判断していくことはあってはならないと思います。

歳をとっても働ける人もいれば、そうでない人もいます。

ただそこにいるだけで誰かを和ませる人がいたり、元気づけられたりる人もいたりすることだってあるわけです。

遠くの天体みたいに望遠鏡で過去を見るのなら、今のこの社会もその人達のおかげでつくられてきた社会であったわけですから、いまばっかりを見て判断するのはおかしいなぁと思います。

どんな人にでも役割があるはずです、生態系のように誰もが欠けてはならない存在だということを忘れてはならないはずです。

気候変動や自然災害などを乗り越えて進化してきた生物の中の一員である人間も、環境問題はもちろんのこと超高齢社会の問題においても進化をしてマインドから変わっていくことが必要なのかもしれません。

たかが数十年の生きている時間、時間も力も足りないからこそ、多種多様な人達で少しずつ助けあってシニア支援の活動を続けていきたいと思います。

来年はどうしましょうか?良かったら一緒に考えてください。

とにかく、いいこともそうじゃないこともたくさんあった1年間でしたが、なんとかちゃんとちゃんとの学校もここまでやってこれました。

たくさんのご協力や応援チャントをありがとうございました。

来年もゆるく関わっていただけたらそれはそれは嬉しいです。

 

 

 

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