『 ホモ・ルーデンス 』

勘がいいのか頭が悪いのか、考えるより直感を信じたほうがうまくいきます。

その日は何故だかうまくいく予感がして、家を出るときに子供たちに「今日ゲットしてくるから」と言いました。

よくわからない直感は当たりました。

仕事終わりに寄ったヨドバシカメラで、昨年からずっと手に入らなかったプレイステーション5をついに手に入れました。

そして久しぶりに子供たちのヒーローになりました。

なんだ、たかがゲームの話かと思われるかもしれないですが、ゲームのような別に無くても困らないと思われている “遊び” が大切なんじゃないかと思うのです。

 

『 ホモ・ルーデンス 』

“Felis silvestris catus”と書いてあっても意味も読み方も分かりませんが、これは学名でネコのことなんだそうです。

そして人類を学名で呼ぶと、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)です。

ラテン語で「ホモ」は人で「サピエンス」は英知、つまり「賢い人間」という意味なんだそうですが、そうすると僕はホモ・サピエンスじゃないのかもしれません。

一方オランダの歴史家ヨハン・ホイジンガは人間をホモ・ルーデンス(Homo ludens)と呼びました。同じく「ホモ」は人で「ルーデンス」は遊戯、つまり「遊ぶ人間」です。

ああ、自分はこっちだなぁ、間違いなく。

ヨハン・ホイジンガはあらゆる文化は遊びから始まっていて、人間の本質は遊びで、それが日々の生活に意味を与えるのではないかという考え方や人間観を ”ホモ・ルーデンス” という言葉で表現しました。

たしかに最初は遊びから始まることばかりだと、言われてみるとそう思います。

言われて無理にやらされている勉強と、言われなくても自ら進んでやる遊びとを比べたら、やっぱりホモ・サピエンスである前にホモ・ルーデンスなんだと思います。

ヨハン・ホイジンガの考え方に影響されたフランスの社会学者ロジェ・カイヨワは著書『遊びと人間』の中で遊びの定義を6つの活動として紹介しています。

①自由な活動

②隔離された活動

③未確定の活動

④非生産的活動

⑤規則のある活動

⑥虚構の活動

こう書いてあると難しそうですが、結局人は意味のないことが好きで、それがなくなったら、人間らしくはいられないんじゃないかとも思います。

 

『 Gamer Grandma 』

森浜子さんは『 最高齢のゲーム動画投稿YouTuber 』としてギネス世界記録に認定されています。

91歳になる森浜子さんは51歳の頃からTVゲームをはじめて、40年のゲーム歴をもつ超ベテランのゲーマーです。

Gamer GrandmaというYouTubeチャンネルを2014年には開設し、バイオハザードや荒野行動などを楽しんでいる動画をアップしています。

最初は ”おふざけ” で始めたというこのGamer Grandmaは日本だけではなく世界中からも注目されていて、現時点でなんと登録者数50.3万人にもなる大人気チャンネルです。

「一人でプレイしているだけではもったいない」「自身も動画をアップすることでゲームの楽しさをより多くの人と共有できるのではないか」「もっと面白くなるのではないか」という思いから始めたこのGamer Grandmaはコロナで外出を控えている高齢者の方に、こんな楽しみ方もあるんだよと教えてくれているような気がします。

またWikipediaによると2020年時点でゲーム機としてファミコン、ディスクシステム、スーパーファミコン、PCエンジン、PCエンジンDuo-RX、プレイステーション、NINTENDO64、PS4、パソコンを所持していて、ゲーム時間は1日に3〜4時間までと決めているんだそうです。

 

『 遊びから 』

そもそもスポーツも遊びから始まっているわけですが、次第にそれを忘れてしまいがちです。

好きで始めたことがいつのまにかやらなきゃならない義務になっていく、プロのスポーツなら仕方はないと言われたらそうなのかもしれないですが、遊びの要素が失われていくことは本来のスポーツの魅力も失われていくことになるのではないでしょうか

スポーツは本来遊びであって、そこに遊び以外の意味をどんどんつけ過ぎてしまうことは良くないことかもしれません。遊びのはずのスポーツを商業的にしすぎることはどこかにしわ寄せがくるんだと思います。オリンピックだって、大坂なおみ選手だって、、、

 

ちゃんとちゃんとの学校で100歳図書館のお手伝いをしてもらっている村岡さんは、自身がお勤めになっている株式会社シールズで顧客管理システムに関わるお仕事をされています。

シニア層の顧客が多い村岡さんの会社では、今までお知らせなどをDMにてお伝えしていたようですが、代わりにLINEでお知らせなどを送るように変え始めているようです。

業務の手間やハガキ代のコストを削減だけるだけでなく、これからの時代は少しでも紙を使用する機会を減らすことは環境に配慮するうえでも必要です。

ただ現実はそう簡単にはいかなかったようで、シニア層の方が慣れないスマホを使ってLINEを使えるようになるまでには、丁寧に何回も使い方を説明したりすることの繰り返しで、思っていた以上に大変なこともあったみたいです。

ただそんな作業を繰り返す中でシニアの方がどこでつまづいているのかが分ったり、また村岡さんは仕事の合間にメーカーや機種ごとによって異なるスマホの使い方を勉強したり、学校に通ったりしながらスマホを使えるシニア層の方を増やしています。

そんな村岡さんが心掛けていることも “遊び” なんだそうです。

LINEでお知らせを送るだけではなくクイズを出したり、様々な遊びの要素を取り入れているようです。

「まずはスマホやLINEの楽しさを知ってもらいたいんです、それに遊びだと思ってもらったほうがよりスマホを気楽に使っていただけますし、便利なことや得することもたくさんあります。」とよく話をしてくれます。

最近だとワクチンの予約の取り方が分からないというお声が多かったので、わかりやすく丁寧に書いた説明をLINEで送ったり、また小さな文字が見づらいというお声に対しては太く大きな文字で文章をつくったりして、よりスマホを身近に感じていただける努力をしているようです。

これはなかなか出来ない凄いことをやっている気がします。

そして現在LINEの会員数は1200名をこえているようですから、さすがです。

 

コロナでステイホームの時期には誰かに会って話をしたりするような、いつもの日常が奪われました。

そんなときわたしたちはメールやLINEをしたり、SNSで繋がったり、無意識に少しでもその空いた穴を塞ぐようにしていたと思います。

スマホやパソコンを使わないようなシニアの方の中には、誰とも合わずにずっと自宅にいた方も多くいたと思います。

一人暮らしの方はどんなに心細くて寂しかったのだろうと思ってしまいます。そんなときにスマホはポッカリと空いた穴を少しは埋めてくれるのかもしれません。

もし1日しか生きれないと言われたら、誰もが自分の好きなことをやるのではないでしょうか。

ただしそれを毎日続けるとしたら、好きなことをやり続けることは一見簡単そうで難しいことだと思います。

でもそれが遊びだと思えばできる気がしてくるから不思議です。

「遊んでばっかりいないで勉強しなさい!」と何万回も言われた記憶があります。

どうしても遊びはダメなことだと思われがちですが、遊びが無ければ文化が出来なかったとするならば、遊びがすべてとは言わないまでも遊びこそ生活に欠かせないものではないでしょうか。

やらされているより、楽しくて自然とやってしまうようなシニア支援が理想です。

そんな苦もなく続けられる、遊びのようなちゃんとちゃんとの学校でありたいもんです。

 

 

 

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