『 ちゃんとちゃんとがあって良かった 』

人間はどこまで優しくなれるのだろう

きっと優しさの下には途方もない数の色々なものが積み重なっていて、その上に優しさはあるのかもしれません。

良いことばかりじゃない人生で、辛いのは自分だけじゃないんだと自分のことより周りの人達を思いやる姿が優しさで、優しさは強さなんだと思います。

 

『 開店休業 』

今年はアルゼンチンのビジャフィオリートが生んだサッカーの神様が死んでしまったことが個人的には悲しくて仕方がないですが、やっぱりコロナのパンデミックな一年でした。

もともと仕事ではない『ちゃんとちゃんとの学校』はコロナで仕事もままならなくなった時には、やはり活動そのものが難しく開店休業状態でした。

そんな中、ちゃんとちゃんとの学校に昨年参加していただいた岡山の星島美子さんからお手紙が届きました。すぐにメンバーで読み、その内容に励まされ、勇気をもらいました。

1人でもちゃんとちゃんとを待ってくれている人がいるんだということが嬉しくて、迷いながらもやってきたことにとにも意味があったのかもしれない、そんな気持ちにさせていただいてやれることから始めることになりました。

コロナでそれどころじゃないという方もいる中でのスタートかも知れませんし、やらない理由を探せばたくさんあるとも思いますが、今年初めに読んだ「それしかないわけないでしょう」を思い出しながら出来ないことを探すのはやめて出来ることを探してみることにしました。

 

『 自然免疫と獲得免疫 』

「免疫」という言葉を今年は例年以上に耳にする気がしますが、「免疫」という言葉はあっても「免疫力」という言葉は無いようです。

免疫とは強いから良いとか弱いからダメだとかそんな単純なものではなく、ウイルスや細菌などの病原体から身体を防御し、身体の中の老廃物や死んだ細胞や発生したがん細胞を処分し、傷ついた組織を修復したりするような身体を守る複雑なシステムのことを「免疫」とよぶようです。

そんな複雑な免疫システムでは、生まれつき身体に備わっている免疫の仕組みと、生活の中で獲得していく後天的な免疫の仕組みの2つに分かれていて、前者を自然免疫、後者を獲得免疫というようです。

そしてこれらの免疫システムに異常がでると、本来は自分の身体を守るはずの免疫が自分の身体を攻撃してしまうこともありますから、免疫は諸刃の剣でもあります。

 

 

今年は今までに経験してこなかったことに誰もがチャレンジせざるを得ない1年でした。子供から大人まで誰もが迷いながらも正解のない問題に挑み、それぞれが正しいと思う選択をしながら過ごしたそんな1年間は今までにはありませんでした。

コロナの新しい暮らしに慣れていく日々で、免疫でいうと獲得免疫のようなものが知らず知らずのうちに身についてきた気がしました。

 

そして同時にそれぞれの正しい道をめぐる対立も印象的な一年間だった気もします。コロナによって巻き起こった様々な論争は、誰かにとっては正解でほかの誰かにとっては不正解で、みんなが正義でそれぞれが正論で、なかには意見の違う人を攻撃する人も出てきて、こういう状態は免疫でいうところの「免疫暴走」(サイトカインストーム)になるのかなぁ?と思ったりしました。

ふと昨年末の100歳図書館に出演していただいた千葉県の多古町の郡司保美さんが、先日Zoomでお話しされていた言葉を思い出しました。

「コロナになって分かったことは、結局人間は偉そうにしているけどたいしたことないってこと」

ですよね、郡司さん流石です。

 

『 錯覚 』

錯覚とは「昔お金を持っていた事ばかり覚えている人のこと」って誰かが安い居酒屋で言っていましたが、僕は「昔からのお金の物差しでしか善し悪しが判断できないこと」だと勝手に思っています。

誰かが勝手につけたお金の価値を何も考えずに信じ込み、お金のことばかりで物事を判断して振り回され、大切な人生の時間を無駄にはしたくはありません。

もちろん綺麗ごとだけは生きてはいけないですが、やっぱり自分が心からいいなぁと思うことに関わっていたいと思いますし、まだ価値があるのに気が付けていないものも、まだまだあるんじゃないかとも思います。

 

友人達で始めたちゃんとちゃんとの学校はいよいよ6年目に突入します。まさかこんなに続くとは、、、こんな僕たちに協力いただけた皆様のおかげです、本当にありがとうございます。

超高齢社会を問題として考えるだけではなく、長生きすることにはもっともっと価値があるはずだとスタートしましたが、その価値を多種多様な人たちで探していくことがちゃんとちゃんとの学校であり、それを誰もがわかるカタチで表現できたら、長生きの価値がもっと伝わればということを目指しています。

 

100歳図書館で感じたことは、なぜこんなに心に響くのか、なぜこんなに勇気を与えられたりするのか、おそらくそれは今まで気がつかなかった長生きの価値がそこにあったからだと思います。

 

ちゃんとちゃんとの学校は校舎もなければ先生もいません、学校でいうと休み時間に近いかもしれません。

勉強の合間に集まってワイワイガヤガヤ、遊び感覚でもいいのでゆるくシニア支援に関わっていただきたいそんな学校です。

ゆるい休み時間だからたくさんの面白いシニア支援の企画が生まれましたし、休み時間だからこそクラスや学年を越えていろいろな人と交流できるんだと思います。もっともっといろいろな人に参加してほしいし、遊びに来てほしいと思っています。そしてシニア支援に興味がある方の休み時間のような居心地がいい場所でありたいとも思います。

世界で初めての人の図書館をつくる100歳図書館や、シニアの立場に立ったシニアの住まいづくりをデザインするちゃんとちゃんとハウスはもちろんのこと、新しいシニア向け栄養学やフード開発、歩き方を学ぶ授業、来年は校歌もつくりたいし、かっこいいグッズもつくりたい、そんな感じで来年も楽しみながらも真面目にシニア支援の活動をしていく予定です。

今年も大変な状況にもかかわらずご協力いただいた皆さま、一年間本当にありがとうございました。来年もちゃんとちゃんとをよろしくお願いいたします。

最後にコロナにひっちゃかめっちゃかにされながらもいま思うことは

「ちゃんとちゃんとがあって良かった」

ということでした。来年には1人でも多くの人に同じように思っていただけるちゃんとちゃんとの学校でありたいと思います。

一年間本当にありがとうございました、よいお年をお迎えください。

 

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