貧しい家に生まれ、子供の頃から製本屋で働きながら本を読み漁り独学で科学者になったというマイケル・ファラデー(Michael Faraday)は、電磁誘導を発見し電気利用の発達の基礎を築いた科学者です。
そして2019年にリチウムイオン電池の開発によりノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が、科学に興味を持ったきっかけとして語ったことで話題になったのもマイケル・ファラデーの著書『ロウソクの科学』です。
ファラデーが講演した講義の内容をまとめたこの本の中で「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せつけてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいぐらいです。」そう言ってファラデーはたった1本のロウソクから様々な物理や化学の現象を説明していきます。
ロウソクの炎は3層構造になっていて外側から外炎、内炎、そして炎の中心を炎心(えんしん)と呼ぶんだそうです。
そんなこと習ったっけ?と思いながら調べると、炎心は炎の中心部の透明に近い部分で酸素がほとんど供給されておらず、温度も低いために未反応の可燃性気体が存在していて、外炎や内炎のように光を発していないため暗く見えます。
と書いてありました、つまり炎心はまだ燃えていない蒸気の集まりなんだそうです。
『炎』
人類が火を使い始めたのは170万年前から20万年前までの間ではないかとされているようです、どんだけ範囲が広いねん、と突っ込みたくなりますがそんな昔のことなんでしょうがないとしましょう。
自分たちで火をおこすことが出来なかった時には山火事などで自然発生した火を使ったり、火を起こせるようになってからは、火が人間を獣から守り、火が人間を寒さから守り、調理にも使うようになりました。
とてつもない昔から人類にとって切っても切れない関係の火ですが、今でも冬場にキャンプなんかするとそのありがたさが身にしみます。
5年くらい前に始めたちゃんとちゃんとの学校ですが、そのマークは炎のカタチをしています。
そしてその炎のマークも3層構造になっています、3人で始めたプロジェクトだから、3つのジリツを目指しているから、そして炎に集まる原始人のようにちゃんとちゃんとの学校にいろいろな分野の方々に集まってほしいという願いがあります。
そしていつも炎の中心には、つまり炎心の部分にはシニアとシニア支援パーソンが主役になるプロジェクトにしたいということで”ちゃんとちゃんと”の頭文字のスペルである”C”と”C”があります。
『価値』
つい先日宮城の塩釜でマグロの大トロを食べました、それはそれは当たり前のように旨く、当たり前のように高級でした。
昔は大トロは捨てられることも多かったようです。大正時代に東京の日本橋にある「吉野鮨本店」がマグロの不漁でマグロの価格が高騰し、赤身を買う資金がなく仕方なくトロを提供したのが始まりなんだそうです。
安いトロは学生を中心に人気がではじめます。最初は名前もなかったようですが「口の中でトロっとするから、トロにしよう」という客からの声でトロが生まれました。
これまで捨てていたものが高級食材に変わるわけですから、分からないもんです。そしてそれは偶然の産物だったのかもしれませんが、それ以上に価値があるものを誰もが見つけられていなかったんではないか、とも思います。
これまでのちゃんとちゃんとの学校で、私たちが感じたことは
シニアの方々の人生の経験はなんて面白いんだろうということです。
必ずそこには、ひとりひとりそれぞれにしか分からない個性的な物語があり、見た目だけのどこにでもあるような偽物じゃなくリアルな実体験から生まれる表情や言葉は、理論武装した理屈よりもよっぽど説得力があり、どれだけ正論で励まされるよりもよっぽど生きる勇気をもらえます。
そんな価値があるものを無駄にしてきたんじゃないかと、ちゃんとちゃんとの学校をやればやるほど思います、昔の大トロみたいに。
この価値を一人でも多くの人に知ってほしい、この価値を誰もがわかる価値として表現したい、そんな思いでちゃんとちゃんとの学校は人生最高の1枚の写真を使って対話する『100歳図書館』を始めました。
超高齢社会は本当に悪いことなんだろうか?
それは長く生きることの本当の価値を誰もまだ知らないだけなんじゃないだろうか?
長生きすることにはもっともっと価値があるはずです。
バラエティー豊かな人生の経験を集めて生きた図書館をつくりたい、その生きた経験がほかの何よりも誰かのエネルギーになるはずです。
今までそんな図書館はありません、世界で初めての100歳図書館を見てみたいし、創ってみたい、そんなチャレンジはなんて面白いんだろうと最近なんだか楽しくてしかたがありません。
現在、一緒に100歳図書館を創る仲間を募集しています。
写真を使いながら人生の物語を語ってくれる方、そしてそのサポートをしてくれる方
ちゃんとちゃんとの学校では100歳図書館の中心メンバーとして、物語を語ってくれる方の心に火をつけ、サポートをしてくれる方のことを「たきびと」
そして100歳図書館の主役として物語を語ってくれる方を「炎心さん」(えんしんさん)と呼ぶことにしました。
ちゃんとちゃんとの炎の炎心はまだ燃えていない炎です。そして何歳になろうともこれから燃える炎です。