2022年から、つまりあと1年ちょっとで団塊の世代が75歳以上になり始めます。
その団塊の世代の約800万人が75歳以上となる2025年がいよいよ目前です。
コロナで大変なときに、という気持ちもわかりますがこちらも目を背けられない現実です。
『 75歳 』
よく65歳以上を高齢者といいますが、あの郷ひろみだって65歳ですから、いまの65歳はめちゃくちゃ若いと思います。
これは見た目だけの話ではありません。
2017年に日本老年学会・日本老年医学会は、75歳以上を「高齢者」、65歳以上74歳以下を「准高齢者」とする新たな定義を提言しています。
多くの科学的なデータをもとに検証したところ、現在の高齢者は10年前に比べて身体の働きや知的能力が5~10歳は若返っていると判断したからなんだそうです。
これまで、高齢者は65歳以上とされてきました。
1956年にWHO(世界保健機関)が発表した「65歳以上の人口が全人口の7%を超えると高齢化社会とする」
当時の日本人の平均寿命は66歳、平均寿命を超えた人はみな高齢者だったようです。
あれから64年、今の平均寿命は84歳くらいですから、昔の65歳と今の65歳は全く違うわけです。
そして昔に比べて10歳若返ったとされる現在では”75歳”がキーワードになっています。
『 ごえん 』
75歳以上になると、いわゆる寝たきりの原因になる大腿骨(太ももの付け根にある骨)の骨折が増えます。
骨粗鬆症や、サルコペニア(ギリシャ語の「サルコ=筋肉」「ペニア=減少」を組み合わせた言葉)という筋肉量が減少してしまう状態にもなりやすくなります。
がんになりやすい年代も75~79歳がピークで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や動脈硬化による血管障害、膝や腰に影響がでる関節障害、またこれからの時期に気をつけなければならない肺炎での死亡者も75歳以上がピークになります。
もちろん75歳以上でも元気な方は多いですが、病気になりやすいのも事実です。
食べ物や飲み物を飲み込むことを嚥下(えんげ)といいますが、その食べ物や飲み物が本来通るはずの食道に行かず、誤って気管の方に流れていくことを間違った嚥下、誤嚥(ごえん)といいます。
味噌汁を飲んだらむせるとか、お茶を飲むときに咳き込む方は注意が必要です。
それは口の中にいる細菌が肺にいっておこる誤嚥性肺炎で亡くなる方が高齢になると圧倒的に多いからです。
肺炎で死亡する方は冬場が多く、また約98%が65歳以上と言われていますが、特に75歳以上から急激に死亡率が上がります。そしてその70%近くが誤嚥性肺炎です。
耳の下辺りにある耳下腺などが唾液をつくりますが、年齢とともにその機能が衰えて唾液が少なくなります。
唾液には口の中の細菌を殺す役割もありますので、結果的に年齢とともに口の中の細菌が増えやすくなります。
年齢とともに増える口腔感染症、ドライマウス、こういう口腔内の衰えをオーラルフレイルなんてよんでいるようです。
マスクはもちろん大切ですが、口の中を清潔にすることや、唾液を増やすことが大切です。
唾液を増やすためにはよく噛むことはもちろんのこと、会話をすることも大切だと言われています。
コロナであまり人と会わなくなり会話の機会も減っているいま、より気をつけなければならないことだと思います。
『 名前がない社会 』
1000万人以上が感染し、24万人以上がコロナで死亡したアメリカは、その大きな原因として医療保険制度があげられていますが、日本では今のところ国民皆保険制度によって全国各地で安心して医療が受けられます。
ただこれから75歳以上の人口が増えていくと、これからも今と同じような医療が受けれるかは不透明です。
もしもコロナが無かったとしても、以前から逼迫していた社会保障費の問題は、コロナの景気に及ぼす影響も含めてより深刻になるのは目に見えています。
65歳以上の人口が全人口の7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢化社会の”化”が取れて高齢社会、21%を超えると超高齢社会と高齢化率が7%増えるごとに呼び名が変わります。
総務省が9月20日に公表した「統計からみた我が国の高齢者『敬老の日』にちなんで」によると現在65歳以上の高齢者数は3617万人で、総人口に占める割合は28.7%なんだそうです。
7%ごとに名前が変わるなら、28%を超えた日本は既に超高齢社会ではありません。
そのさらに上の社会ということとなり、あてはまる名前がないほど高齢化率が高い、日本は名前がない社会です。
そしてさかんに求められているのは高齢者の自立です。
自分のことは自分でする、自立が大切、理屈ではわかってはいるけど、高齢者が増える社会の暗くて大変な問題点ばかりがクローズアップされているのは、なんだか違うなぁと、せっかく長生きの時代になったのに、なんだかなぁと
そんな中で
「高齢者が増えることはそんな問題なんだろうか?」
「もしかしたらそれは素晴らしいことなんじゃないか」
と思って始まったちゃんとちゃんとの学校ですが、名前がつかないほどの超高齢社会の困りごとを解決する学校ではなく、年齢を重ねることの素晴らしさを証明する学校でありたいと思います。うまく伝えられませんがそう思います。
ちゃんとちゃんとの学校ではシーズン3をスタートしています。
「100歳図書館」や「ちゃんとちゃんとハウス」など、どれもが長生きすることの価値を改めて考えさせられる魅力的なプロジェクトが進み始めています。
是非一緒に参加してみませんか?