『認知症カフェの役割』

高齢化社会が進む中、認知症の方が増加しています。現在日本では、軽度認知障害を含めると、およそ800万人ほどの認知症高齢者がいるとも言われています。この数は、65歳以上の方の4人に1人の割合です。

厚生労働省では、認知症を患っている人やその家族の方を支援すべく「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定しました。この新オレンジプランの一施策として「認知症カフェ」の設置を挙げています。

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■認知症カフェとは?

認知症カフェは、認知症の方、家族、専門家、地域住民が集う場で、交流や情報交換などを主な目的としています。カフェと言っても、通常のカフェのように営業しているわけではなく、定期的なイベントとして開催される交流会といった感じです。

しかし月に数回でも、こうした交流の場があることにより、認知症を発症されている本人にとって、同じ悩みを分かち合うことができたり、本音で話をすることもできるなどといったメリットがあるだけでなく、人と交流をする楽しみができ、引きこもりの解消にも一役かってくれます。

また、認知症を患っている本人だけでなく、それを支える家族にとっても、専門家への相談ができたり、同じ境遇の人たちと話をすることで、心理的負担の軽減にも繋がるといったメリットがあります。

■認知症カフェと介護サービスの違いは?

介護サービスの場合、そのほとんどがケアプランなどに基づいて決められたプログラムを利用者が受けるのが通常です。この形では、介護される側とする側とにはっきりと分かれてしまい、より強く認知症の方が認知症なのだという意識を持たざるを得なくなってしまいます。

認知症カフェでは、特にプログラムを設けるのではなく、過ごし方は自由で自分で時間の使い方を決める事ができます。「認知症の人」としてではなく、「ひとりの人」として過ごすことが出来るのです。

■運営上の問題点

認知症の人にとっても、その家族にとっても気軽に利用できて、その活躍が期待される認知症カフェですが、運営上いくつかの問題点があると言われています。

一つには人材不足があげられます。認知症カフェの運営は、現在ボランティアに依存している部分が多数を占めます。月に数度の開催を目指すとなれば、当然人材が必要ともなりますし、また認知症ボランティは認知症についていの知識が必要ですから、人材の育成が急務だとされます。

そしてもう一つは資金面です。認知症カフェの利用料金は200円~300円程。収入としては微々たる金額なのにも関わらず、運用費はそれを遥かに超える金額が必要となります。現在運営費は、自己資金または本人負担が6割を占めているのが現状です。

認知症カフェには、こうした問題点や他にもいくつかの課題があることから、まだまだ運営数が少ないと言われています。これから超高齢化社会を迎える日本において、こうした取り組みが広がっていけるよう、問題点の解決が早期になされることを願いたいものです。

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