仕事で多くのシニア世代の方と話す機会が多いのですが、皆さんと話をしていると、とても多く出てくるキーワードがあります。
それが「あれ」という言葉。
「ほら、あれよあれ!」皆さんも使うことがありませんか?例えば場所の名前が思い出せない、物の名前が思い出せない、人の名前が思い出せない時などによく使ってしまいがちですよね。
人間の記憶力のピークというのは、30~40歳頃までなのだそうです。それを過ぎると記憶力というものは低下し始め、「物忘れ」という生理的現象が現われます。しかし、これが単なる生理的な「物忘れ」であればいいのですが、中には病的な物忘れというものもあります。これが「認知症」です。
厚生労働省では、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しています。これは65歳以上の5人に1人が罹患する計算となっています。
認知症は放っておくとどんどん進行していきます。最初はちょっとした物忘れかな?という程度のこともあるため、その症状に気づきにくく、わかった時には随分とその症状が進行してしまっていることも多くあるそうです。
そこで、今回は生理的物忘れと病的物忘れの違いについてをご紹介したいと思います。
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■生理的物忘れと病的物忘れの特徴
◆生理的物忘れの特徴
- 人の名前や物の名前が思い出せない、漢字が思い出せない
- 言葉を言い間違える
- 言葉がとっさに出てこない、言葉に詰まる
- 置き忘れやど忘れ、立ち上がった途端に用事を忘れる
- 勘違い
◆病的物忘れ(認知症)の特徴
- 今日の日付が思い出せない
- 使い慣れた道なのに迷う
- 使い慣れている物の道具の使い方がわからない
- 前に買ったことを忘れ、同じものを度々買ってしまう
- 同じことを何度も聞いたり言ったりする
- 趣味や楽しみに対する関心がなくなる
生理的物忘れは、その場では思い出せなくても後で思い出せたり、また、忘れたり言葉が出てこないことに対して、自分で明白な自覚があります。
一方病的な物忘れでは、以前に自分がした経験そのものが残らないという忘れ方をします。また、忘れたことに対して明白な自覚症状というものがなく表面的な自覚しかありません。これは、自分を省みるということが困難になっているためです。
認知症は早めに気づいて、適切な治療をすることにより、その後の症状の進行を遅らせることは可能です。これらのチェックは、認知症の症状が出てきてしまってからでは、自分でチェックすることが難しくなります。周りの人たちが、少しでもおかしいかな?と感じる事があれば、確認のため本人にこうしたチェックを促してあげることも大切です。
是非こうしたチェック項目を参考に、早期発見早期治療に努められるようにしてみて下さい。