たった1人からの「敬老の日」

敬老の日はいつからあるのだろう?

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Photo by Paolo Fefe

 

調べてみると1966年から国民の祝日になったようです。

「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」と祝日に関する法律に定められています。

 

そしてこの「敬老の日」が出来るきっかけになったと言われているのが1947年に兵庫県多可郡野間谷村でつくられた『としよりの日』です。

 

当時の青年村長であった門脇政夫さんがつくったとされている『としよりの日』は次第に拡がりをみせ、1950年には兵庫県の行事になり1951年には全国行事になって今の「敬老の日」になりました。

 

「敬老の日」がこの時期になった理由は諸説あるようですが、気候が良く農業が忙しくない時期にしようという考え方が青年村長の門脇さんにあったようです。

 

“老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村づくりをしよう”

 

この門脇村長の想いからはじまる敬老の日は、約70年近く続いています。

ただお年寄りを大切にする日だとばかり思っていた自分がいましたが、この日はお年寄りから学ぶ日だとあらためて考えさせられた気がします。

 

敬老の日だから何かをしよう、というのはおかしな事かもしれませんが、少し勇気をもってシニアの方と会話をしてみることや、気持ちを理解しようとすることだけでも、何か新しい学びがあるかもしれません。

 

私は仕事でシニアの方々とお話をすることが多いほうだと思いますが、今日はもっとお話を聞いて勉強してみようと思っています。

『生きがいを持ってシニアライフを送るためには?』

先日お会いした70代男性の方がこんな事をおっしゃっていました。

「2日ぶりに人と話をした」

その男性は現在一人暮らしで、予定がない日はほとんどを家の中でテレビを観たりしながら過ごしているそうです。そのため、外出をしない日は誰とも話をする事がないと。

この男性に限らず、近年ではこうした1日中誰とも話をすることもなく、頼れる人もいないというシニアの方が増えているのが現状です。

内閣府が発表している60歳以上を対象とした意識調査では、人との会話や近所付き合いの深さは「生きがい」と比例するという結果がでています。逆を言えば、何日も会話をすることなく、近所付き合いも希薄な人は生きがいを感じにくい人が多く、その先にあるのが「孤独」ということに繋がっているということです。

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photo by StephaniePetraPhoto

■ボランティア活動が孤独を解消してくれる?

こうした孤独を解消するために、多くのシニアたちが意欲的に行っているのが「ボランティア活動」です。ボランティア活動に参加しているシニアに参加動機を聞いてみると、「自分自身の生きがいのため」と答えられた人が67%。次に「いろいろな人と交流できるから」「自分の知識や経験を活かす機会がほしかったため」と続きます。ボランティア活動を通じて、生きがいを得ようとされるシニアが非常に多いことがわかります。

しかしながら一方では、そうしたボランティア活動に参加してみたくても、健康面の不安であったり、気軽に参加できる活動がない、どのような活動をしているのが内容がわからないなどの理由で、参加を断念されている人も多いのだそうです。

ボランティア活動を主催する側としては、今後もっと多くのシニアが気軽に参加できるような企画や工夫も必要になってくるのではないでしょうか。

間もなく超高齢化社会を迎える日本。生きがいを持って楽しいシニアライフを送るためにはどうしたらいいのでしょうか?その答えはボランティア活動を通じた「人との交流」の中にあるのかもしれません。

『新しい事にチャレンジするのに年齢は関係ない』

ここ数年、シニア向けのパソコン教室というものを目にすることが多くなりました。シニア世代の方々からは、「パソコンは難しそう」「覚えるのが大変そう」と言う声も聞こえてくるのですが、逆に「パソコンを覚えたい」と言うシニアの方も非常に増えているそうです。

私の知人にもパソコン教室を開校している人がいるのですが、平日の昼間に来られる生徒さんの多くは、65歳以上のシニア層の方々だと言っていました。知人の教室では入会時に「パソコン教室に通いたいと思った理由は?」という質問をするそうです。もちろん理由は皆さんそれぞれあるようですが、多くの方が「趣味」として始めたいと言われるそうです。

今まで得に趣味らしいものがなかった方も、家で気軽に始めることができる趣味の一つとしてパソコンは人気のようです。

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Photo by Alan Toniolo de Carvalho

■シニアブロガー

最近ではシニア世代の方のブログもよく見かけるようになりました。そんなシニアブロガーの中でも、テレビなどのメディアで紹介され一躍有名になったのが徳島県にお住まいの「さっちゃん」こと堀江幸子さんです。

堀江幸子さんは、80歳の時にパソコンを購入し、84歳でブログをスタートさせています。それ以来6年間、自筆の水彩画と日々の雑感を毎日アップしていました。「していました」と書いたのは、今年2016年5月9日に94歳6ヶ月の長寿を全うして永眠されたからです。さっちゃんは、その時が来る直前までブログのアップをされていました。

70歳の頃から本格的に習い始めたという絵は、四季折々の優美なものばかりで、個展を開かれる程の腕前です。文章は日々の雑感だけでなく、物語や短編なども書かれていて、90歳の頃には短編集「藍の風」を出版されています。

現在では毎日ではないですが、さっちゃんの弟さんがブログを引き継いで、さっちゃんの過去の投稿や作品を紹介する形でアップされ続けています。

さっちゃんは「歳だから」という理由で何かを諦めるのではなく、様々な新しい事に挑戦をし続けました。覚えるのに時間がかかったり、物忘れが多くなったりしても、それを逆に楽しんでいたりした様子がブログから伺えます。

皆様も、新しい「趣味」見つけてみてはいかがですか?

 

「秘密の小箱」(堀江幸子/著 扶桑社/刊 『また、明日。』より)

短歌の友達が
贈ってくれた菓子折り

セットの中のひとつ
「藍大尽」の小箱

誰にも食べられる心配がない
ひとり暮らし

でも、これだけは
見つからない秘密のところに隠してある

忘れた頃
「あれ!こんなところに小箱が?何かしら・・・」

見つけたときの喜びをたくらんでいる

物忘れのひどくなった
歳よりの秘かな楽しみ