『 ネガティブトランジション 』

9年前には神戸にいました、15時頃にタクシーに乗り「新神戸まで」と言うと、昔ながらのマニュアルシフトの運転手さんから「新幹線は動いてへんよ、あっちはえらいことになってるよ」と言われて、初めてそんなことがあったのかと知りました。前日の夜まで仙台にいたので信じられない気持ちでした。

あれからもう9年かと思いますが、当時は余震が続くなか福島のこともあり、先の見えない不安とあの津波の映像で打ちのめされていました。

当たり前の日常がなくなってから9年が過ぎ、そしていまはコロナが日常を、今までの当たり前を変えようとしています。

 

『 ネガティブトランジション 』

いまは大好きなサッカーも世界中で中止が増えて残念な限りですが、サッカーにはネガティブトランジションという言葉があります。

ネガティブトランジションとはオフェンスからディフェンスへの切り替えのことです。

ボールを奪われた後にどうするか?ということで、すぐにボールを奪いかえすゲーゲンプレッシングという方法や、いったん自陣内に戻って守備陣形を整えるリトリート​などという方法があり、とにかくこれが上手いチームが強いチームだとされています。

ビシッとスーツを着てサイドラインに立つ監督が多い中、ユルゲン・クロップはいつもジャージで無精髭を生やし、ゴールが決まるとどのサポーターよりも全身で喜びを爆発させます。

今の時代では珍しく選手やサポーターからも愛されている監督で、現在おそらく世界で一番強いリバプールの監督です。

ヤジを飛ばすサポーターを叱りつけて応援させたり、絶対に選手を悪く言わないクロップのサッカーはいつも挑戦者で情熱的です。

全員で相手を追い回しボールを奪って全員で攻撃するこのスタイルは、はっきりいって弱者のサッカーかも知れません。おそらく選手層ではリバプールより強いチームはあると思いますが、全員が最後まで戦う姿勢と情熱がそれを上回るんではないでしょうか?

そんなリバプールは過去に歴史に残る大逆転を何度も起こし、ピンチになるときに強い、ネガティブトランジションが優れたチームです。

 

『 はやりかぜ 』

1.病人または病人らしい者、咳する者に近寄ってはならぬ

2.たくさん人の集まっているところに立ち入るな

3.人の集まっている場所、電車、汽車などの内では必ず呼吸保護器(*マスクの事)をかけ、それでなくば鼻、口を「ハンカチ」手ぬぐいなどで軽く覆いなさい

これは、だれ日で文筆家の古谷経衡さんが書いていたもので、当時の内務省衛生局が一般向けに出した「流行性感冒予防心得」の一部です。

いまから100年前、5億人が感染し4500万人が死亡したパンデミックがおこりました。いまはH1N1型と特定されている、つまりあの”スペイン風邪”のことです。

1918年にアメリカから始まったスペイン風邪は第一次世界大戦の中、世界中に拡がり多くの被害を出しました。

日本でもスペイン風邪によって、45万人が死亡したそうで、当時5600万人の人口の0.8%にもなるようですからとんでもない事態です。

当時はスペイン風邪の原因を特定する技術がまだ無かったようです。当時の研究者はこのパンデミックの原因を「細菌」だと考えていたが、実際にはウイルスであった。

当時はまだウイルスに対し全くの無力だったんだそうです。

まあ100年前のことですから現在とは全く違う状況ではありますが、今と昔では人が移動する距離が大きく変わったり、またSNSにより間違った情報も昔より早く大きく広がって混乱を起こしていたり、なんでも分かっていたつもりがそうじゃないことが分かってきて、そしてあまりにも多様化した時代はパニックになっています。

コロナも3.11も、それより昔にはスペイン風邪も同じような津波も歴史は繰り返しているわけですが、大きな何かが崩れてしまった時に日常に早く戻って欲しいという気持ちと、何かを知ってしまった以上は以前と全く同じようには戻らない気もしています。それがよりよい方向に向かうことを願うばかりです。

 

コロナ以降はシニアの方々と話す度に逆に元気をもらっています。どちらかというと若い人のほうが動揺していてお年寄りは自分の考えや価値観がしっかりしていてすごくどっしりとされている気がします。不安な方はお年寄りと話をされたらとても元気になりますよ。

先のことなんて誰もわかりませんし、過去のことをあーだこーだ言ったところで変わらないわけで、やっぱりいまのことしか変えられない私たちはピンチにどういうことが出来るか?ネガティブトランジションが大切だと思っています。

 

最初の頃このコラムを書いてくれていた高山さんがいるゆかわは自分の中では一番美味しいと思っている料理屋さんです。

そこでこれから幸田さんと作戦会議です。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です