『 くらす 』

ずいぶん前に死んじゃったじいちゃんの家は兵庫県の神崎郡という田舎にありました。

田んぼばっかりの神崎郡には「広納」というかなり珍しい苗字がたくさんあり、お墓参りで墓石を見ると広納ばかりでびっくりしたことを覚えています。

6人兄弟の家族が集まるお正月は賑やかで、食事のときには3つ並べたコタツに大勢が足を突っ込んで座るのもんですから、足を入れるだけで大変で、コタツの中は誰のかわからない足でヤマタノオロチのようでした。

そんな状態で餅だらけの、汁のほとんどないお雑煮を必死に食べていました。

慌ただしい平民達を尻目にして、誕生日席みたいな場所にだけ赤い座椅子があり、じいちゃんがゴッドファーザーみたいに座っていたのを覚えています。


お年玉は欲しいけど人見知りでたくさんの人がいる場所が苦手でしたが、なぜかじいちゃんは好きでした。

孫にも厳しいばあちゃんと違って甘々なじいちゃんは釣りを教えてくれたり、凧揚げの絡まった糸を気長に丁寧になおしてくれたり、まあ優しい人でした。

今の家と比べると、大きな土間があったりトイレが流れていなかったり違いがありますし、何より家族が多いということが大きな違いだと思います。

 

『 空き家問題 』

846万戸、これは全国の空き家数(平成30年度財務省住宅・土地統計調査より)で住宅総数の13.6%にあたります。そして「空き家数」と「空き家率」は共に過去最高になんだそうです。

あれだけ賑やかだったじいちゃんの家もここに含まれています。

空き家率を都道府県別で見ると、最も高いのは山梨の21.3%ですから5軒に1軒は空き家ということになります。
 
 
 
 
新築がどんどん建てられる反面、住む人がいなくなった住宅の解体・流通が進んでいないことが原因だと言われていますが、やはり少子高齢化と人口減少の問題が大きく関わっています。
 
 
 
 5年に1度行われる国勢調査によると毎年増えていた人口は、2015年から減り始めています。
1億2800万人だった2010年をピークに2015年には1億2700万人、2025年には1億2300万人に減ると予測され、ごく限られた都市部を除いてほとんどの市町村が減少するようです。
 
 
 
そして昨年末のクリスマスイブに厚生労働省から発表された人口動態統計によると、2019年に国内で生まれた日本人の子どもが86万4000人で過去最少だったようです。
一方で亡くなった方は137万6000人、生まれた数から死亡した数を引き算をするとマイナス51万2000人ですから、それは空き家も増えるはずです。
 
 
『 変わるくらし 』
 
上の子どもが好きだったのが「仮面ライダーダブル」です。その主人公の一人が今テレビで活躍しているあの菅田将暉で、他にも佐藤健も福士蒼汰も、元はといえば仮面ライダーです。
 
 
 
そんなわけで子ども向けの仮面ライダーにお母さん達も夢中です。
昔は変身ベルトだけ買っておけば1年はもったはずが、最近の仮面ライダーはまあ次から次へと新しい武器やアイテムが出てきて親は苦笑いしています。テレビ局もおもちゃ屋さんも大変です。
それもこれも子どもの数が減っているからです。
 
 
2002年から2017年に発生した廃校の数は全国で7583校(廃校施設等活用状況実態調査 文部科学省)になり、毎年300〜400近い数の学校が廃校しています。
また18歳以下の人口が減少期に入るという「2018年問題」も含め大学や予備校などにも大きな影響が出ていて、その影響は今後ますます増えていくわけですから大変です。
 
 
 
 
今はサザエさんや、うちのじいちゃんみたいな家庭は減りました、暮らしが変わり始めています。
 
シニア世代の暮らしも多様化してきています。
 
 
 
1963年に施行された「老人福祉法」によって特別養護老人ホームなどの整備が進められたようですが、当初それは住まいというよりは自立が困難な高齢者を受け入れる施設で、面倒をみることが難しくなった家族から隔離するような要素が強かったようです。
 
その後2000年に介護保険制度が導入され、また2011年には「サービス付き高齢者住宅」がはじまり、徐々に「施設」から「住まい」に変わり始めています。
 
 
 
要介護状態の方を対象にした施設にもいわゆる特養(特別養護老人ホーム)のような公的施設や介護付有料老人ホームのような民間施設、また自立した方向けの施設にも今話題のサ高住(サービス付き高齢者住宅)や高齢者向け賃貸住宅、公的な施設ではケアハウスなどがあげられます。
 
私もいくつかの介護施設に見学には行かせてもらったことがありますが、思っていたより清潔で思っていたより明るくて、想像していた高齢者施設のイメージとは全く違っていました。知っているようで知らないのが高齢者施設であり、高齢者の住まいなのかもしれません。
 
 
そして現在、今までのイメージを覆すような全く新しい高齢者の生活スタイルが色々と始まっているようなので、今年はそのあたりも『ちゃんとちゃんとの学校』シーズン3で学んでいけたらと考えています。
 
 
 
最近会ってない友達が「活き活きと生きる」から生活だと、そういえばよく言っていました。
 
 
 
生活は食べて、働いて、寝て、という日常生活はもちろんのこと、健康面や、趣味や勉強、自分がやりたいことが出来ることが“活き活き”と生きることにつながると思います。
 
 
 

そしてどこで誰とどのように過ごしていくのかも、大きなテーマだと思います。

昔の人に比べれば、2回分ほどの人生の時間はあるわけですから、もう歳だからなんていってないで、自分らしく「くらす」を探してみるのもいいかもしれません、もう一度生まれ変われると思って。

 

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