『 ちゃんとちゃんとの学園祭 』

おもちゃ箱をひっくり返したような、ガチャガチャした、キラキラした、そんなデコボコで魅力的な『ちゃんとちゃんとの学校』が1年の締めくくりになる”学園祭&アワード”を12月15日に開催しました。

 

 

今回は急遽、会場と開催時間が変更になってしまいご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 

今回の会場になる『アーツ千代田3331』は千代田区にあった旧錬成中学校をリノベーションしてつくられたという東京でも有数のアートスポットです、そこが学園祭の会場です。

昔を思い出す懐かしい気持ちにさせてくれる黒板や、あの硬い椅子がありながらも近代的で清潔なアーツ千代田の会場には、日曜日にもかかわらず早朝から事務局のメンバーが駆けつけてくれて、会場準備を手伝ってくれました。

参加者だった方々がどんどん運営をサポートしてくれている、これだけでも始めた甲斐があったと思います。

 

そんなこんなで、打ち合わせや準備やセッティングでてんやわんやになりながら刻々と時間は進み、参加者の方々が集まり始めました。

岡山や名古屋、秋田からもこの日のために、年末の忙しい時間を割いて来ていただいた方々との新しい出会いや懐かしい再会も学園祭ならではの素晴らしい瞬間でした。

とにかくバタバタしながらあっというまに時間は過ぎ、時計自体がグルグル回るという、面白い、そして正直見にくい時計の針は10時をさして、待ちに待った学園祭が始まりました。

 

 

『 RUN-TOMO埼玉 』

学園祭の1時間目の授業はちゃんとちゃんとの学校のメンバーでもあり、いま日本全国で注目されている『RUN伴』のRUN伴埼玉の代表でもある平野勝仁さんからの授業でした。

介護福祉士で認知症ケア専門士でもある平野さんは「ライフ&シニアハウス川越南 七彩の街」のハウス長をされています。その平野さんから『 RUN-TOMO 』の具体的な活動をわかりやすく説明していただきました。

 

「認知症」と聞くとどうしても “こわい” とか “どう接していいか分からない” など認知症はまだまだ理解されにくい現状があります。

RUN伴では「認知症の人や家族、支援者、一般の人が1つのタスキをつなぎゴールを目指すイベント」を誰でも参加できる形にして、より認知症を身近に感じてもらい、共に地域をつくっていく社会を目指す活動をされています。

2011年に函館から札幌までをつないだタスキの活動は毎年活動する場所や関わる人も増え、日本全国や海外にまで広がっていく大きなうねりになっています。

「もし認知症になっても、好きな場所に出かけ、会いたい人にあって、やりたいことをしたい」

そんな社会を目指す素晴らしい『RUN伴』の活動を知らなかった私に詳しく教えてくれたのは平野さんでした。

平野さんはとにかく優しくて、何かある度に忙しい中でもフットワークよく駆けつけてくださる優しく頼もしい存在です。素晴らしい授業をありがとうございました。

 

 

『 100歳図書館 』

そして私と幸田さんが今年どハマりした『100歳図書館』の授業に入りました。

人は誰もが、誰にも分からないその人にしかない人生の物語があります。その物語には実は価値があるんじゃないかと思ってしかたがないわけです。

誰かの話が他の誰かを救ったり、交わるはずが無い赤の他人の言葉や経験に励まされたりもする、それは今までは価値がないと思われていたかもしれない人生のストーリーを、誰もがわかるような新たな価値として、表現出来ることになるかも知れないと私たちは思っています。

 

倉敷では今年の9月、NPO法人つくぼ片山家プロジェクトの皆さまの全面的な協力のもとに開催した『100歳図書館@倉敷(わたしものがたり )』を開催しました。そこで感じたことは「なぜ見ず知らずの人の話にこんなに心を揺さぶられるのか」という驚きでした。

 

 

100歳図書館ではまず写真を使って人生の物語を語っていただくストーリーテラーの方に”人生最高の1枚の写真”を選んでいただきます。

人生最高の写真を選ぶ、それだけでもとても大変です。それぞれストーリーテラーの方と近しい担当者にサポートしていただきながら進めていきます。

押し入れや倉庫からホコリをかぶったアルバムを引っ張り出してくる、そして写真を選び始める、それはひとつの作業に見えますが心の中でも同じように冷凍保存していたかも知れない記憶のアルバムを解凍している気がします。

そしてその写真選びに至るまでも担当者の方と一緒に選びます、なぜこの写真を選んだのか?その理由を担当者の方に話をしていきます、これは事前準備ではありますが、100歳図書館はもうすでに始まっています。

そして当日の授業では机一面に引き伸ばした写真と実際の写真を使いながらスタートします、担当者の方が進行しながらいよいよ始まります。

 

今回ご協力いただいた3名のストーリーテラーの方は、

岡山の倉敷からお越しいただいた星島美子さん(担当者は綾部小百合さん)

千葉県の多古町からお越しいただいた郡司保美さん(担当者は清水絵理さん)

そしてちゃんとちゃんとの学校に参加いただいている田中利英さん(担当者は森脇剛さん)

の御三方です。

最初はストーリーテラーの方も参加者の方々も緊張しながらスタートした100歳図書館でしたが、すぐに打ち解けて和やかに進み始めました。昔の驚くような話があったり、大笑いする場面があったり、なんだかいい感じになってきました。

そしてこの100歳図書館の大きなテーマは「対話」です、参加者の方とストーリーテラーの方との対話は世代や立場を超えた交流で、いつも知らないうちに身につけている見えない鎧を外して語り合う、とても優しい不思議な空間だと思います。

素敵なものが欲しいけど、あんまり売ってないから〜と歌ってる人がいますが、こんなに素敵なものがこんな身近にあったのかと、おそらく参加者の皆さまに思っていただいたと思うような素敵な時間がそこにありました。

 

「対話」(ダイアローグ)はいま医療の分野でもオープンダイアローグという精神療法が注目をされていると、倉敷で100歳図書館を開催したときに、つくぼ片山家の理事で茶屋町在宅診療所の亀山先生から教わりました。

 

『ダイアローグ』「対話」が精神疾患の薬を減らしたり、病状が良い方向に向かったり、子どもの様々な問題や、子どもをもつ親御さんの問題など、世代を超えて多くの問題を解決してくれる効果があるのではないかと期待されているようです。

ちゃんとちゃんとの学校で始めた100歳図書館はシニアの新たな価値を生み出す可能性を秘めています。それは人生を語るストーリーテラーだけにとどまらず、対話をする参加者にも大きな価値を見出せるからではないかと感じています。

 

その場にいなければ経験できないこの空間と時間に大きな可能性を感じていますし、来年はさらに色々な場所で開催できたらと思っています。

今回素晴らしい100歳図書館を一緒につくっていただいた参加者の皆さま、そしてサポートしていただいた清水絵理さん、綾部小百合さん、森脇剛さんには、お忙しい中にもかかわらず事前にしっかりと準備をしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。

 

そして何より3人の魅力的なストーリーテラーの星島美子さん、郡司保美さん、田中利英さんのおかげで素晴らしい100歳図書館となりました。本当にありがとうございました。

 

 

『 アワード 』

今年最後の授業になる3時間目は、当日の始発に乗って滋賀県から駆けつけていただいた「ちゃんとちゃんとの学校」を立ち上げた頃から応援していただいている、私たちの大好きな尊敬する東京大学名誉教授の眞鍋昇先生からご挨拶をいただきました。

このプロジェクトを始めた4年前、まだ何も始まっていない、炎のマークしかない頃から、先生にこのプロジェクトのやりたいことの話をした時があります、先生は即座に「それは素晴らしい」と言っていただいたことが未だに私たちの大きな原動力です。

先生が紹介していただいた写真も、先生らしいなぁと思う写真で嬉しくなりました。

ちゃんとちゃんとの学校を締めくくる、こういう場所に先生がいていただけるのは本当にありがたいなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

 

そしていよいよ2019年の締めくくりとなるちゃんとちゃんとのアワードの発表です。

ちゃんとちゃんとの学校の2019年の活動を振り返りながら、シニア支援に貢献された方々を表彰させていただきました。

まずは森脇剛さんです。森脇さんは昨年末の東京大学でのちゃんとちゃんとのイベントでスタッフ側として眞鍋先生の講演を聞き、地元山口でも何か超高齢社会に対する取り組みが出来ないだろうかと、企業が取り組み始めている健康経営を中心にしながら山口県の企業や一般の方々を対象としたセミナーを眞鍋先生をお招きし開催しました。

たった1人で始めたこのチャレンジは自身が所属するアクサ生命保険株式会社が主催するようになり、山口県や徳山大学などの協力もありメディアにも取り上げられました。

ちゃんとちゃんとの学校のスピンオフの新たな形としての成功例ではないかと表彰させていただきました、凄いチャレンジおめでとうございます!

 

 

そして学園祭の1時間目の素晴らしい授業をしていただいた平野勝仁さんを表彰させていただきました。

平野さんとの出会いはちゃんとちゃんとの学校の楠本さんです。楠本さんはちゃんとちゃんとに合いそうな人をよく紹介してくださる活発で面白い方です、そんな楠本さんにひっぱられて最初はわけもわからず参加してくださった感じでしたが、私たちの活動にも共感していただき、また私と幸田さんの魔の手に引っかかりいまに至る感じです。

いつも頼りにしています、とにかく優しい平野さんおめでとうございます。

 

続いては事務局の清水絵理さんを表彰させていただきました。介護福祉士、ケアマネジャーでもある清水さんは介護業界に12年もいるエキスパートでありながら、食と認知症や介護の関連にも着目した料理研究家でもあります。

1番最初のちゃんとちゃんとの学校から参加いただいている参加者の方でしたが、今となっては「ちゃんとちゃんとの学校」にはなくてはならない存在です。とにかく優秀で優しい方だと思いますし、いつも想像を超えてくる方です。

いまはインスタグラムを担当していただきシニア支援に関わる書籍の紹介や、見るだけで勉強になる”シニアにまつわるキーワード”のコーナーも大好評です。いつもありがとうございます、そしておめでとうございます。

 

そして来年も力を入れたい企画のひとつウォーキングクラスから鈴木学さん、加藤寛啓さんのお2人を表彰させていただきました。

山梨県中央市で今年開催したウォーキングイベントは、シニア世代の顧客をもつ企業株式会社GreenPassの代表を務める加藤さんの協力と、スポーツ骨格サイエンティストであり、 メディアブレインフットボールアカデミー トレーナー兼 スポーツジム「メディコス」責任者でもある鈴木学さんを講師として迎えて、ちゃんとちゃんとの学校が主催した「正しい歩き方を学ぶ」体験型授業を開催しました。

いつまでも自分の足で歩けるように、そして正しい歩き方は怪我や転倒予防にもつながります、今回の授業を受けた方々からは大反響で、来年は鈴木学さんが提唱する「ちゃんとちゃんとの歩き方」を加藤さんと一緒になって様々な地域で開催していきたいと思っています。

鈴木学さん、加藤寛啓さん素晴らしい授業をありがとうございました、そしておめでとうございます。

 

フードクラスからは河野ひなさん、村岡唯さん、榎本航太さん、渡部佳子さんを表彰させていただきました。

シニアの低栄養は要介護の1つの原因になります。フードクラスではシニアに関わる人達でその対策になるフードを作ってしまおう、という凄いプロジェクトです。

フードプロジェクトリーダーの三谷さんのミタニホールディングスさんの全面的な協力のもとスタートしたこのチャレンジはどうしたら手軽に毎日使ってもらえるのかを含め商品を何にするのか、使用する食材や補うべき栄養、ネーミングに至るまで、そういうものをシニアと接する機会が多い方々でつくっていこうと始まりました。

このプロジェクトでは救急医療の最前線で活躍し高齢者の医療や予防医学の「食」に精通する素敵な河野ひなさんをサブリーダーに迎え、アクティブシニアを顧客にもつ株式会社シールズさんからシニアに接する機会が多い村岡唯さん、榎本航太さんを中心に進められました。そしてついにちゃんとちゃんとの学校が初の開発協力した商品『ふり活』が完成しました。

また商品のネーミングもサポーターに募集をして、眞鍋先生にも協力をいただきながら『ふり活』に決まりました。その『ふり活』という名前を応募してくれたのが事務局の癒し系の渡部佳子さんでした。

カルシウムが豊富で糖の吸収を穏やかにする「桑の葉」と新陳代謝に欠かせない「亜鉛」を加えたこの『ふり活』はまもなく販売を開始する予定です。

とにかく頑張っていただいたフードクラスの皆さまおめでとうございます!

 

そしてNPO法人つくぼ片山家プロジェクトの皆さまから代表して、綾部小百合さんを表彰させていただきました。

ちゃんとちゃんとの学校としては初めて東京を飛び出して開催することになった「ちゃんとちゃんとの学校@倉敷」と先程ご紹介した『100歳図書館@倉敷(わたしものがたり )』では本当に何から何までサポートしていただき感謝の気持ちでいっぱいです。

100歳図書館で参加いただいた星島さんを始め素晴らしいストーリーテラーの皆さま、そして優秀な担当者の皆さま、松岡さん、亀山先生、素敵な虹色商店の皆さま、そして何よりちゃんとちゃんとの学校と倉敷の素晴らしい方々をつないでいただいてサポートいただいた綾部さんのおかげで、無事に開催することができました。

たくさんの感謝の気持ちを込めて表彰させていただきました。おめでとうございます。

 

 

そして千葉県の多古町の皆さまを代表して郡司保美さんを表彰させていただきました。まず最初に素晴らしい多古町との出会いをつくっていただいた木川祥宏さんに感謝したいです。

ちゃんとちゃんとの学校に来ていただいていた多古町役場に勤めている木川さんが紹介いただいてから、ちゃんとちゃんとのメンバーが多古町を訪れることになり、タコ足ケアシステムの平野香さん、髙安一弘さん、在田創一さん、そして今回来ていただいた郡司保美さんや、台風15号の後に開催した緊急チャリティーセミナーでは内閣官房から照井直樹さんと星加潤二さんにまで駆けつけていただきました。

とにかく多古町の不思議な魅力に魅了されていく中で起こった台風被害は、ちゃんとちゃんとの学校の多古町への想いがより強くなるきっかけになりました。人の魅力にあふれた多古町を代表して郡司保美さんに受賞していただきました。おめでとうございます!

 

 

そしてストーリーテラーの郡司保美さん、田中利英さんを表彰させていただきました。

郡司さんは初めてお会いしましたが、とても繊細でインテリで毒舌だけど思いやりがあるそんなめちゃくちゃな、だけど人の魅力にあふれた人間が好きで好きで仕方がない人でした。

こんな人が出てるならテレビを見るだろうなぁと思うくらい独特な間と話し方で皆さんがもっと話を聞きたいと1番盛り上がっていました。おめでとうございます、まだまだ話し足りないようですので、また来年もよろしくお願いします!

 

そして田中さんはちゃんとちゃんとの学校に参加していただいたものの深い話をしたことがなく、田中さんの100歳図書館は当日の楽しみの1つでした。

人生最高の一枚の写真ではなく、人生最悪の頃の写真を選ばれた田中さんのストーリーは、誰にもどこかで思いあたる部分がある内容でした。弱い自分を認め向き合っていくことは簡単なことではありません、田中さんはこんな自分でも出来たんだから自信をもってやれば大丈夫と教えてくれます。

自分と向き合った人の言葉には力がある気がしました、優しい声でどんどん心に染み渡ってくる言葉に感動しました。田中さんにお願いして本当に良かったです。おめでとうございます!

 

 

そして2019年のちゃんとちゃんとの学校の最優秀選手(?)賞となる『ちゃんとちゃんとバロンドール賞』には星島美子さんが選出されました。ちゃんとちゃんとの学校のレオ・メッシです。

星島さんと初めてお会いしたのが倉敷でのちゃんとちゃんとの学校でした。「花火大会が中止になったから来れたんだ、良かったわぁ」とニコニコ言われていたのを覚えています。

それから倉敷での100歳図書館で再会してその話を聞かせていただいて、ただただ驚きました。

それはただの話でなく星島さんの生き方が伝わってくる感動的な時間でした。星島さんに運良く出会えた人はきっと幸せな気持ちになるに違いないと思って、幸田さんと私が無理を言ってわざわざ岡山からお越しいただきました。星島さんと会った人はファンになります、私もその1人です。

記念すべき第1回の『ちゃんとちゃんとバロンドール賞』は眞鍋昇先生よりお渡しいただきました。星島さん、ありがとうございます、そして本当におめでとうございます。

 

 

『 今年もありがとうございました 』

大盛況で終わったちゃんとちゃんとの学校の学園祭は、その後近くのお店で懇親会を行いました。

立ち上げからお世話になっているアドバイザーの綿貫孝一さんからの乾杯で始まり、株式会社シールズさんの村岡さんから学園祭でも展示をして、参加者の皆さまに注目されていたお客様の昔の写真をあらためて説明していただきました。

そして発売前のちゃんとちゃんとの学校が開発協力した『ふり活』を試食して交流を深めました。

 

いよいよ今年も終わり来年は2020年です、東京オリンピックのお祭り騒ぎの後には大きな問題が山積みです。

ちゃんとちゃんとの学校で始めているシニア支援の活動は「シニア支援」という枠を超えていかないといけないと思っています。

学園祭の中で感じたことは冒頭書きましたが、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようなガチャガチャした、でもひとつひとつが魅力にあふれた学校だなぁということです。

一年前にはまるで想像出来なかった姿がそこにありました。ちゃんとちゃんとの学校は校舎も先生もいません、あるのはシニアのジリツという同じ目標だけです。

 

様々な人が自由に関わって新しい授業をつくっていく、色々な人が関わり合うから何かが生まれるんだと思いました。決して整っていないガチャガチャしたその姿は形を変えることを繰り返します、先のことなんてわからない、それってなんだかいい感じだなぁ、と思いました。

あらためてそんなちゃんとちゃんとの学校が好きだなぁ、始めて良かったなぁと思いました。来年の今頃は想像できない姿になってるはずです、それがシニア支援の枠を超えることになるかもしれないと思うとやっぱりワクワクしてしまいます。そんな期待がふくらむ2019年の締めくくりでした。

 

最後に幸田さん、三谷さん、本当にお疲れ様でした。

また素晴らしいサポーターの皆さまにお礼を言わせて下さい。

どこにもない『ちゃんとちゃんとの学校』をつくっていただき本当にありがとうございました。

 

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