『 多古町 』

何かを好きになるときに理由はいらないのかもしれません。「なんとなく好きだ」という時のほうが正直なんじゃないかとよく思います。

 

『 始まりは 』

3年ほど前から『ちゃんとちゃんとの学校』のオープンセミナーを始めましたが、参加者の皆さまの中に片道2時間もかけ、青山一丁目にあるセミナー会場に通っていただいた方がいます。それが千葉県の多古町(たこまち)という町の役場にお勤めの木川祥宏さんです。

 

木川さんはシャイで誠実な人だと思います。木川さんにはセミナーで参加者の方々に自己紹介と多古町のことをお話していただいた事がありますが、言葉数は少ないですがその優しい人柄が伝わってくるようでした。昨年末の東大でのイベントにも多古町のお土産まで持って来ていただき、スタッフ一同感激していたのを覚えています。

木川さんを通じて僕たちは多古町のことを知りました。成田空港から近く映画のロケ地にも使われる美しい町であり、多古米という美味しいお米などの農産物が豊富な町だということ、そして高齢化の問題に対しての取り組みが注目されていること。

 

『 2019年 』

そして今年に入ってから多古町に行かせていただくようになりました。1月に初めて多古町に行き、予定より早く着き立ち寄った旧興新小学校(映画「永遠のゼロ」などのロケ地)ではフレンドリーなお年寄りの方達に癒されて、その後役場に行き防寒着を来た木川さんと再会し、木川さんから多古町地域包括支援センターの平野香さんをご紹介いただきました。

平野さんは、初対面のどこの馬の骨とも分からない私達に対してもフラットにそして優しく接していただいて、あの『タコ足ケアシステム』の話を聞かせていただきました。

タコの足のようにゆるく地域をつないでいくシステムとは、それは行政からのトップダウンのシステムではなく、ご高齢の方でも比較的元気な方が他の高齢者の方に何かしてあげられることはないのだろうか?また本来は交わることがない人達が交わり合い、年齢や職種を超え助け合うようなシステムは多古町の人達から始まったもの、それがタコ足ケアシステムなんだそうです。

3人でゆるく始めたという『タコ足ケアシステム』は、同じく3人でゆるく始まった『ちゃんとちゃんとの学校』にも共通することもあり、最初から親近感があります。

その後、幸田さんを中心に歩け歩け大会に参加させていただいたり、ちゃんとちゃんとの学校の清水絵理さんや平野勝仁さんと多古町で有名なあじさい祭りに見学に行かせていただいたりしてきました。

 

『 人を地図に 』

そしてタコ足ケアシステムの方々が取り組まれていることや、それを実践する多古町の魅力的な人達のことを第三者に伝えることは簡単ではありません。

そして多古町の良さは”人”に他ならないと思います。その個性的で魅力的な人たちを分かりやすく伝えていけるものが出来たらということで、多古町の魅力的な人たちを地図にしていく「おっちゃんマップ」というものを作っていこうじゃないかということになりました。

多古町の人からすれば“よそ者”であるちゃんとちゃんとの学校のメンバーが、多古町の魅力的な人達をよそ者の目線で取材して、その魅力を伝えていく、そんなワクワクする地図作りのためのミーティングを9月6日に行いました。

タコ足ケアシステムを立ち上げた3人のうち、平野さんとは2度ほどお会いしたことがあったのですが在田創一さんと髙安一弘さんとはお会いしたことがなく、初めてビデオチャットで幸田さんと私の5人でミーティングをさせていただきました。

ズーッとふざけていて時々真面目な話があるという、まさしくゆるさがここまでくるとカッコいい、そんな素敵なタコ足ケアシステムの皆さまにすぐにハマってしまいました。

 

『 9月9日 』

ミーティングの前日9月5日に発生した台風15号は、4日後の9月9日の5時に千葉県に上陸しました。

上陸時の勢力は関東としては過去最強クラスというこの台風がもたらした被害は甚大でした。その一部はテレビなどで紹介されていましたが、Twitterなどでも川が氾濫したり、倒木や、真っ二つに折れた電柱、屋根がとばされた家屋、ボロボロになってしまったビニルハウスなど、そこに映る多古町は大変な状態でした。断水や長引く停電はどれだけ多古町の人を苦しめたのかと思うとなんとも言えない気分になりました。

台風ではないですが私も阪神大震災で被災して1週間近く断水していたころはもう体力的にも精神的にも相当疲弊していたのを覚えています。

タコ足ケアシステムの皆さまのフェイスブックを見ると、相当疲弊しているにもかかわらず、明るく振る舞っていらっしゃる写真を多く見ることが出来てなんだか胸が熱くなりました。

こんなに近い場所で、なんてことだと思いました。

何か出来ないだろうか?個人としてはもちろんのこと、ちゃんとちゃんとの学校として出来ることがあるのではないかと考えました。

 

 

『 ちゃんとちゃんとの学校を! 』

こんなときこそ『ちゃんとちゃんとの学校』をやってみようということになりました。はたしてどれだけ意味があるのかも、役に立てるかどうかも分かりません、ただそれはシニア支援も多古町支援も1人では出来ないことをみんなでやるという点においては変わらないのではないかと思ったからです。

急にやってみようということになり、これといった準備も出来ないままバタバタしたまま当日を迎えました。今回の参加費は全額多古町に寄付させていただくという形のオープンなチャリティセミナーにしました。

急遽の開催にもかかわらずお時間を作って参加いただいた方々、遠方のサポーターの方々も後日に今回の模様を動画にて見ていただくという形でチャリティに参加していただいたり、そんな方々が集まって千葉県多古町支援の緊急チャリティセミナーが始まりました。

初参加の方々もいらっしゃるので、シニア支援プロジェクト『ちゃんとちゃんとの学校』を知っていただいてからスタートしようということでちゃんとちゃんとの学校が目指す “シニアの3つのジリツ” について説明をさせていただきました。

そして多古町の現状に関してタコ足メンバーの方々から事前にお知らせいただきました。多古町は現在、電気や水道などのインフラはほぼ復旧し、残すは瓦礫の撤去や家屋、農業施設の復旧作業という状態だということですから、まだまだ大変な状況が続いているようでした。

 

『 多古町の凄さ 』

そしていよいよ、多古町のタコ足ケアシステムを学ぶ授業が始まりました。

じつはちゃんとちゃんとの学校で何回も取り上げたことのあるタコ足ケアシステムですが、私が一番よくわかっていなかったのかもしれません。

なんとなく理屈は理解していても、なぜそんなに人を惹きつけるのか?なぜ誰もが好きになるのか?

そこにはただ楽しそうにしているように見えて、深い哲学のようなものがありました。

 

 

そして今回は多古町とのご縁から、内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部事務局」の照井直樹さんと星加潤二さんにもお忙しい中参加いただきました。

照井さんからは、前日にも内閣官房の地方創生に関するフィールドワークで訪れたという多古町のお話を聞かせていただきました。

台風被害の後も、多古町を数回訪れられたという照井さんからは多古町の状況や多古町の独自の取り組みの素晴らしさについてお伝えいただきました。なかなか聞くことが出来ない貴重なお話、本当にありがとうございました。

 

後半はちゃんとちゃんとの学校で現在取り組んでいる高齢者の低栄養対策になるフード開発をするフードクラスの話と、人生最高の写真を使いながら人生を対話する授業「100歳図書館プロジェクト」、そして1年の締めくくりとして12月15日に東京大学で開催する『ちゃんとちゃんとの学校@東京大学』のお知らせをさせていただきました。

シニアの“3つのジリツ”をキーワードにしながら「年齢を重ねることが素晴らしい」と思えるような授業を作っていくちゃんとちゃんとの学校をこれからも応援してくださいとお伝えさせていただきました。

 

最後にはちゃんとちゃんとの学校の事務局の、料理研究家でもある清水絵理さんが作ってくれた多古米を使ったおにぎりに、フードクラスで開発中の“ちゃんとちゃんとのふりかけ”をかけて、参加者の皆様と一緒に食べました。そして今回のチャリティセミナーは終了しました。

今回のチャリティセミナーを通じて少しでも多古町を知っていただいたり、タコ足ケアシステムを知っていただいたり、多古町の魅力的な人達を知っていただけたのはないかと思っています。

人を好きになることは、町を好きになることと同じだと思います。

最初は多古町の取り組みは面白そうだなぁ、と思っていたものが、途中からは実はとんでもなくすごいことを楽しみながらやっているんだなぁと痛感しました。

なんとなく好きだった理由の一端がわかった気がしました。

参加された方々が、これまで以上に多古町が大好きになったそんな1日でした。

今回のチャリティセミナーにご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。そして今回の台風で被災された方々の一日も早い復旧をお祈り致しております。

ちゃんとちゃんとの学校は、これからも引き続き応援チャントを送り続けていきたいと思います。

 

 

私達は様々なプロジェクトを、サポーターの方々の支援のもと活動しています。

2019年度から『ちゃんとちゃんとの学校』の記念すべき1期生のサポーター募集をスタートしております。

そして追加募集も始まりました!

シニアのジリツ支援に関心がある方ならどなたでもご参加いただけますので、是非皆様のご参加をお待ちしております。

詳細はこちらをご覧ください

 

 

 

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