『チャトランガ』

『チャトランガ』という紀元前の古代インドで発明されたボードゲームがあります。8×8に区切られた盤の上で行うチャトランガはサンスクリット語で”4つの要素”という意味で【象・馬・車・歩兵】の4つの戦力のことをあらわしているようです。

戦争好きの王に戦争をやめさせるため、戦いを模したゲームを高僧が作って王に献上したのが始まりとする説もあります。そしてやがてこれが世界に広がってチェスや将棋の原型になっていったようです。

IMG_3137

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日まで山形県の天童市にいました。天童市は将棋駒づくりで有名で街を歩くとあちらこちらに将棋をモチーフにするものがあり楽しめます。 

また今月は武者姿の人たちが将棋の駒にふんして対局する「人間将棋」を開催したり、将棋の棋士が主人公の映画「3月のライオン」の主演の神木隆之介さんなどが訪れて盛り上がりをみせている天童市です。

江戸後期、天童織田藩の財政難を立て直すために始まったとされる将棋駒づくりは現在、全国の生産量の大部分を占めるまでになっています。

IMG_3140

 

 

 

 

 

 

 

 

将棋といえば、14歳の中学生棋士の藤井聡太四段が非公式ながら羽生善治3冠に勝利するというニュースがあり、また将棋プロ棋士の佐藤天彦名人とコンピューターソフト「PONANZA」の対局が日光東照宮で行われコンピューターソフトに佐藤名人が破れるということなどもあり話題に事欠かない将棋ですが、シニアの健康にも役立つことがわかってきています。

 

2012年時点で約462万人と推計されている認知症ですが、2025年には700万人を超えると予測されていてこれは65歳以上の方の5人に1人が認知症という計算になるようです。そして認知症になる前の段階を軽度認知障害(MCI)と呼びその軽度認知障害も含めるとなんと65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍という予測があります。

 

認知症は生活習慣病の側面があると言われており、そのためには日々の脳のトレーニングが必要だとされています。

ただし脳のトレーニングといっても同じことを繰り返し行うような脳のトレーニングより、将棋などのような人と向かい合い頭を使うようなトレーニングのほうがはるかに効果があるようです。

 

ニューヨークで行われた75歳以上の高齢者の追跡調査によると、アルツハイマーになる確率が何もしないグループより新聞や本をよく読むグループが3分の2、チェスなどをするグループは4分の1にまで減少するようです。

 

なぜ頭を使うと認知症予防になるのかは実はまだよく分かっていないようですが、物事を考えるときには過去の経験や様々な情報を分析することで脳の神経細胞が活性化し、そして活動的になる脳の神経細胞の数が増えるのではないかと、その頑張って働いている脳細胞を「認知的予備力」と呼び、その力をつけていくことが大切なことのようです。年齢とともに物忘れは増えていきますが、その分努力が必要ということだと思います。

 

そしてその「認知的予備力」をつけるのに将棋はとても良いようです。

 

IMG_3143

 

 

 

 

 

 

日本の将棋はいつできたかはっきりわからないようですが平安時代の「天喜六年」(1058年)と記された木簡と一緒に奈良市で見つかったものが日本最古の将棋の駒とされていて、今と同じ5角形の形をしていたようです。

5角形というのは日本だけで何故なのかは諸説あるようです。前後どちらに進んでいるかわかりやすいという理由や、木簡などが5角形であったため、古くなった木簡を将棋の駒として再利用したとか、、、とにかく昔も今も日本人に愛されている将棋で楽しみながら認知的予備力を上げるというのは素晴らしいことではないでしょうか?