『寒い冬のヒートショックにご用心』

先週、東京都心でも朝方には雪が降りました。11月に雪が降るのは、東京では54年ぶりだそうですね。急激な気温の変化に体がついていけずに、体調を崩されてしまう方も多いのではないでしょうか。

さて、いよいよ冬も本番を迎え、毎日寒い日が続くようになりますが、そんな時に気をつけなければいけないのが「お風呂」です。

実は12月と1月は、入浴中の突然死が一年の中で最も多くなる月だと言われています。

皆様のご自宅で、暖房のきいた部屋から、暖房のない脱衣所や浴室への移動や、暖かい湯船から急に寒い脱衣所への移動など、温度差が10℃以上になることはありませんか?

こうした急激な温度変化が短時間で起こると、急激な血圧の上昇や下降を引き起こします。このことを「ヒートショック」と呼びます。ヒートショックは、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしやすく、突然死の原因になりやすいと言われています。

ヒートショックで亡くなる人は、年間1万人以上いると言われ、この数は交通事故で亡くなる人数よりもはるかに多い人数なのです。

ヒートショックは、主に65歳以上の高齢者に多く、加えて高血圧症や動脈硬化症などの症状をお持ちの方や、糖尿病などの持病を抱えている人などは影響を受けやすいので、特に注意が必要です。

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Photo by  rolands.lakis

 

■ヒートショックの対策方法

ヒートショックを予防するためには、住宅内の温度差を小さくすることが推奨されています。その方法として以下のようなことが有効的だと言われています。

  • 脱衣所やトイレなどに暖房機器を設置する
  • 浴室はシャワーを出して、全体を暖める
  • 外気温が比較的高い日中に入浴する
  • あまり熱めの湯船に入らない
  • 湯船から出る際はゆっくりと立ち上がる

寒い冬、温かい湯船につかることは、体を芯から温めることができリラックス効果もあります。しかし、一歩間違えると命を落としてしまうような危険な行為となる可能性もあります。是非対策方法を参考にしていただければと思います。

 

『60の手習い』

「寿司の握り方を教えて下さい」

そう言ってこられたのは、会社を早期定年退職されたばかりで、間もなく還暦を迎えられる男性、大木さん(仮名)です。

私が大木さんと知り合ったのは今から7年程前でした。その当時から、「定年後は東京を離れゆっくりと暮らしたい」とおっしゃっていて、数年前には海の側にある温泉が有名な町にマンションを購入されました。今年に入って、ようやくその夢が叶うと喜ばれていた大木さん。

そんな大木さんが、私の主人(料理人)に言ってこられた言葉が、冒頭に書いた「寿司の握り方を教えて下さい」でした。

どうやら、お正月に子供たちが来たときに、ご自身で作ったお寿司をふるまいたいようです。せっかく海の側に住んで、魚が美味しいだろうに、全く魚料理が出来ないのではもったいない、ともおっしゃっていました。

かくして急遽一週間だけの、大木さんのための料理教室が開催されることとなりました。

たった一週間とはいえ、その内容は結構本格的です。まずは魚のおろしかたからです。もともと自炊をする機会も多いと言っていた大木さん。最初こそ緊張して包丁がうまく使えなかったものの、すぐに慣れてくるとあっと言う間に魚のおろし方をマスターされたようです。

次いで、酢飯のきり方や、穴子の煮方、巻物、握りと、順を追って練習は続き、その日覚えた事を家でもしっかりと復讐してくる熱心さによって、たったの一週間で、しっかりと握り寿司までもマスターされていました。

 

初めて挑戦した握りと巻物
初めて挑戦した握りと巻物
家でもちゃんと復習されてました
家でもちゃんと復習されてました
最終日の総仕上げ
最終日の総仕上げ

 

「60の手習い」という言葉がありますが、何かを覚える、何かを習うということに、年齢は関係ありません。今回の大木さんのように、「やりたい!」という気持ちさえあれば、何だって習うことも覚えることもできるのです。

60歳、まだまだシニアと呼ぶには若すぎる年齢です。皆様も何か楽しめる趣味や目標を見つけられてみてはいかがでしょうか。

『終活を考える』

最近、「○活」という言葉をよく聞くようになりましたね。
「就活」「婚活」「恋活」「妊活」、そして最近話題の「終活」

「終活」は、ここ数年テレビなどでも取り上げられていることもあり、多くの人たちが知るところとなりました。最近だと、「渡る世間は鬼ばかり」など様々な脚本を手がけた、橋田壽賀子さん(91歳)が終活をして話題となりました。

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Photo by jill111

■終活とは?

終活とは「残りの人生をよりよく生きるため、葬儀や墓、遺言や遺産相続などを元気なうちに準備すること」という意味で、この言葉は週刊誌が作った造語です。

以前から遺言書の作成などは行う人もいましたが、広く一般的には浸透していなかったように感じます。しかしこの終活という言葉が出来てからは、多くのシニア達が関心を持ち、実際に様々な準備を始める人が増えているそうです。

終活が人気となってきた背景には、この言葉の親しみやすさと、昔と違い子供が少なくなっている今、子供に負担や迷惑をかけたくないと考えるシニアが増えてきているなどの理由があるからではないでしょうか。

これまで「死」に対する準備や言葉というのは、縁起が悪いと思われがちでしたが、準備をしていなかったばっかりに、遺された家族が途方に暮れてしまうケースもあるとすれば、終活は決して縁起の悪いことではないのではないでしょうか。

 

私の父も、昨年この終活を行った一人でもあります。
昨年、癌を患った父は、大きな手術をする事となりました。手術の成功率は高いものではありましたが、「絶対大丈夫」という保証もありません。

そこで父は、手術までの間に色々な準備を短期間で行いました。まず取り掛かったのは、部屋の掃除でした。自分が命を落とした場合には、実家のこの部屋に運び込んで欲しいということでした。

次に、お墓の開眼供養です。数年前に既に墓地を自ら購入し、自分の気に入った墓石まで建ててはありましたので、開眼供養のみお願いしました。さらにこの時、戒名も付けていただきました。

あとは、連絡してほしい親戚や知り合いの連絡先一覧の作成、私たち子供への遺産相続の大まかな計算など、ありとあらゆる準備をしていました。

結果としては、手術は成功し今も元気に生活できていますので、その準備は準備だけで終わることとなったわけですが。
しかし、こうした準備をしてくれた事で、私たち子供側は、何をすればいいのかなどわかりやすく、大変有難いなと思いました。そして、その準備をした父本人も、この先何が大切であるか、何をすべきかなど、逆に残りの人生を有意義なものにしようと考える切っ掛けになったようです。

もちろん、必ずしも終活をしなければならないということはありませんし、終活をしないことが悪いということはありません。しかし、終活をすることで、快適なシニアライフを送れる切っ掛けが見つかる場合もあります。まずは、身の回りの不用品を片付けるなど、小さなことから始めてみるのも悪くないかもしれませんね。